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By NIH Image Gallery

近年、抗生物質に耐性を持つ薬剤耐性菌が何十種類も発見されています。これらのスーパーバグの誕生は抗生物質の過剰使用によって加速されているのですが、新しい抗生物質の開発は間に合っていない状態です。世界保健機関(WHO)は抗生物質の使用に対する公衆衛生の改善と抗生物質の開発に対するイノベーションを求めて、「重大」「高」「中」の危険度別に分類した12種類のスーパーバグリストを公開しました。

WHO | Global priority list of antibiotic-resistant bacteria to guide research, discovery, and development of new antibiotics

http://www.who.int/medicines/publications/global-priority-list-antibiotic-resistant-bacteria/en/

WHO、およびドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲン率いる国際医療専門家チームは、耐性レベル、死亡率、コミュニティ内の有病率、医療制度への負担などを調査し、12種類のスーパーバグを3種類の緊急度に分けてリスト化しました。WHOによる危険なスーパーバグリストは以下のようになっています。

◆緊急度1:重大

カルバペネム抗生物質耐性アシネトバクター・バウマニ

・カルバペネム抗生物質耐性緑膿菌

・カルバペネム抗生物質、第三世代セファロスポリン耐性腸内細菌(CRE)

◆緊急度2:高

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

クラリスロマイシン耐性ヘリコバクター・ピロリ

フルオロキノロン(ニューキノロン)耐性カンピロバクター

・フルオロキノロン耐性サルモネラ属菌

・多剤耐性淋菌(第三世代セファロスポリン、フルオロキノロン耐性)

◆緊急度3:中

・ペニシリン非感受性肺炎レンサ球菌

・アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)

・フルオロキノロン耐性赤痢菌

Voxによるとアメリカでは年間200万人が薬剤耐性菌による疾患を発症し、2万3000人が死に至っているとのこと。抗生物質の新薬開発は巨額の投資が必要で大きなリスクを伴うため、過去10年間で抗生物質の新薬は開発されていないのですが、すでに人間が持つ抗生物質すべてに耐性を持つ薬剤耐性菌もいくつか見つかっています。WHOは公開したリストは人をおびえさせるためのものではなく、抗生物質の新薬開発を促すためのものとしています。

なお、どのようにしてこれらの細菌が薬剤耐性を得てしまうのか、ということについては、以下の記事を読むとよくわかります。

抗生物質が効かない悪魔のスーパーバグがどれくらい怖い存在なのか理解できるムービー「The Antibiotic Apocalypse Explained」 - GIGAZINE