<トランプは米国防費を大幅に増やす意向。その増加分だけで、ロシアの年間国防費に相当する。一方で世論への配慮から社会保障費は削らないと公約しており、犠牲になるのは、政治的に削りやすい外交予算や対外援助費かもしれない>

アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月27日、2018年度の国防費を前年度比10%、540億ドル増やすという「歴史的拡大」を約束し、米外交官や安全保障専門家を驚かせた。増額分は、国務省およびそのほかの連邦政府機関の予算を削減して充てる予定だという。

当局者の話では、国務省は48時間以内に予算削減案をホワイトハウスに提出し、最大で30%のカットを目指さなければならないようだ。この大胆な要請を受けて、国務省は対外援助プログラムの廃止と省内の大規模再編を余儀なくされるだろう。

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ホワイトハウスによる今回の予算案は、政府と連邦政府機関の間で交わされる予算折衝の第一弾にすぎない。また、折衝が終わった後、議会で承認を受けなくてはならない。しかし、トランプによる初の予算案の大筋は、米外交官と対外援助推進団体に再び疑いを抱かせた。主席戦略官スティーブ・バノン率いるホワイトハウスは、外交や国務省が広い意味で安全保障に果たす役割をほとんど重視していないのではないか、という疑いだ。

「ホワイトハウスは国務省に対して、基本的にこう告げている。『これからはもっと小さい靴を履きなさい。さて、どの指を切り落とそうか?と」。対外援助を推し進める非営利団体ベター・ワールド・キャンペーンのプレジデントを務めるピーター・ヨーは本誌に語った。

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外交なら政治的に削減可能

ホワイトハウスは国防費の大幅増額に伴い、財政赤字が膨らまないよう政府内の他部門で予算を削減したい考えだ。ただし、トランプはすでにメディケア(高齢者向け公的医療保険)や社会保障の削減は行わないと公言しているため、予算削減は政治的に可能な分野で行うことになる。

とはいえ、それでやりくりが可能かどうかはわからない。国務省などの政府機関の規模は、国防総省とは比べものにならないくらい小さいからだ。

「外交や開発の予算を大幅に削減して軍事費増分を埋め合わせようとするのはばかげているし、数字を見ても不可能だ。国務省予算と開発予算は連邦政府支出全体の1%にすぎない」とデラウェア州選出の民主党上院議員クリス・クーンズは話す。

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連邦政府機関は一般的に、大統領に厳しい予算要求を突きつけられても何とか対応している。しかし、トランプの予算削減要求はあまりにも大きい。エクソンモービルのCEOだったレックス・ティラーソン国務長官は自前の人脈も経験も不足している。

「ティラーソンは人材の配置もまだ途中。これは難しい課題だ」と、ヨーは言う。そもそも、右腕となる国務副長官がまだ決まっていないのだ。「ティラーソンはどの程度削減するのだろうか。削減要求に従うのだろうか。48時間で答えを出せというのは極めて異例だ」

ジョン・ハドソン、モリー・オトゥール