藤井尚之が語る新作アルバム:「ちょっとエロな音を表現できたらいいなと思って」

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藤井尚之がテナーサックスにこだわったアレンジで聴かせるインストゥルメンタルアルバム『foot of the Tower』をリリース。誰もが知っているスタンダードナンバーとオリジナル楽曲で構成された全11曲。デビューから34年。円熟の時に達した彼のゲ兇魯謄福漆瓩だ!イ箸いα曚い鳩莪佞込められたアルバムの制作エピソードを聞く。

―『foot of the Tower』は全曲インストゥルメンタルのアルバムですが、企画の成り立ちをお聞かせください。

前作の『My Life』は、藤井尚之名義で出すのが7〜8年ぶりだったということもあって、久しぶりだから歌っちゃえ! というアルバムだったんですけど(笑)、本来、自分はサックスプレイヤーなので、『My Life』とは真逆のものをサックスで、インストでやろうという話になり、そこでカヴァーを取り上げようという案が出てきたんです。

藤井尚之としてカヴァーをするのは初めてだったので選曲はけっこう悩むところではあったんですね。マニアックな曲もアリだと思ったんですが、むしろみんなが知っているメジャーな曲をやった方が面白いんじゃないかというのがありまして。カヴァーはいかに面白いようにノ鼠イ垢襪が大事だから、オリジナルを超すというのとは違いますけど、そうきたか! というアレンジをしたいよねと。サックスはアコースティックで、プレイヤーの演奏の仕方で音色をつけられるというか、音の表情が変わるものですから、キレイに聴かせるというのもいいですけど、ちょっとエロな、いやらしい感じも出せるんです(笑)。人間らしさと言うか、そういうものが出たらいいなと思ったんですよね。



―実際、映画『禁じられた遊び』のテーマ曲『Romance Anonimo』はこんなアレンジになるんだという新鮮な驚きがありました。

あの曲をサックスでやると、ああいったアレンジしか自分の中にはなくて。三拍子を三拍子ではなく、テナーサックスのラインはエロティックに表現して、サウンドはザ・ベンチャーズなんです(笑)。やり方次第でどんなふうにもすることができるのは、音楽の面白いところですよね。

―アレンジする際の生みの苦しみみたいなものはあったのでしょうか?

うーん、すごく考えてひねって生み出すパターンも当然あると思うんですけど、自分でデモを作っているところでわりと自然にこの曲をこういうふうにしたらいいなというダ澤弯滯イ聾えてきていましたね。



―オリジナル曲の『Back』はレコーディングメンバーとのセッションから生まれた曲だそうですが。

デモの段階ではもっと歪んだ曲だったんですが、最終的に今回一緒にやったアーティストのキャラクターに近づけたんです。いろいろな技術を持っているプロのミュージシャンですから、もっとこうしてくれと言うことはできるんですけど、そうではなく、その人のイ蕕靴亨イ一番出る演奏スタイルでやってみようかということで、こうなりました。

―なるほど。

『foot of the Tower』のレコーディングでは、これまで一緒にやってきた慣れたメンバーではなくて、あえて普段あまり接することのない若いミュージシャンに集まってもらったんです。音楽って、キャリアを積んでいる人の渋さと言いますか、生き方が匂ってくる演奏スタイルとか音があるんですけど、今回は若いエキスっていいもんだなあと思いました(笑)。非常に楽しかったですね。

―(笑)若いエキスがたっぷり入ったアルバムですか。

でもみんな、けっこう枯れた演奏するんですよ。若い時って、年上のアーティストに「どうだ、すごいだろ」「若いのにやるだろ」みたいな背伸びをついついするもんだと思うんですが、彼らはそういうものが一切なくて、全然とんがることなく年寄りを労わってくれる(笑)。自分みたいにゥ蹈奪ンロールが好きですイ箸いΔ箸海蹐ら始めた人間はちょっと突っ張ったりする部分があるんですけどね。みんな、純粋に音楽そのものが大好きというところから始まってるのかな。自分なんてモテたい一心で、楽器を持ちましたから(笑)。

―そうなんですね(笑)。ちなみに今回、テナーサックスに絞ったのには何か理由があるのでしょうか?

単純に、サイズと音が自分の中でグッとくるというのがあったんです。サックスにはアルトもソプラノもバリトンもあって、曲の雰囲気を変えるために楽器を変えることは当たり前にあることなんですけど、今回は何でもやりますよではなく、自分はこれだって代表できるものをしっかり持ちたいという想いがあったので、テナーにこだわることにしました。音を聴いた時に、その人らしさが出ているような、そういうミュージシャンになりたいなと思って。(VOL.111のザ・ローリング・ストーンズの表紙を見ながら)まさに、ジャーンって最初の音をかき鳴らしただけで、キース・リチャーズだってわかるじゃないですか。それと同じように、そのサックスを聞いたら誰かわかるようになるのが憧れなんです。もう残りの人生も短いですから(笑)。

―(笑)藤井さんのイ蕕靴亨イ辰討覆鵑世隼廚い泙后

うますぎても逆に自分自身がつまらないし、たまにしくじったりするくらいが人間らしいくていいなと思います(笑)。ミストーンじゃないですけど、自分がついこうしてしまう手癖というかフレーズがイ蕕靴イ里なと思ったりするんですよ。



―ずっと聴いているお客さんにしたら、イ◆∈の音は藤井さんっぽいイ澆燭い福

実際、自分の声って録音して聞くと変だと思うのと同じで、やっている側の人間はあまりイ蕕靴亨イ傍ど佞い討い覆い隼廚Δ鵑任垢。サックスの音は、歯で噛んで脳に振動を伝導するものですから、お客さんが聴いてわかる音が自分ではわからないという面白さがあったりするんです。やっぱり他のサックス吹きを見たり聴いたりすると、上手いなあ! と思ったり、いい音出してるなあと思ったり(笑)。マウスピースもリードも同じで、同じ楽器を吹いたとしても決して同じ音は出せないんだろうと思います。

―今でもまだ難しいところがある?

うん、やっぱりそういう瞬間はあります。今、すっげーいい音を出せたなって思う時もあるし。リードは消耗品なんですけど、サックスはそれにも左右される楽器なので当たり外れもありますし。いいリードに巡り合うと、いつまでも吹いていたいという気持ちになったりするんですよね。

―5月にはブルーノートやビルボードでライヴがありますが、今回のアルバムとはまたアレンジも変わるかもしれませんね。

そうですね。ライヴでは自由にできます。自分も実はフロントに立つより、一歩下がったところでサポートする方が本当は居心地がいいんですけど(笑)、こういうCDを出したので、やっぱり貪欲に自分を出していくつもりではあります。俺はテナー吹きなんだぜ! っていうところを見せたいですね。

―30年以上、サックスを吹いてきて思うことは?

自分がこの業界に入った時は18とかそんなもんだったので、時が止まったまんまでこの歳まで来ちゃった感じがしているんですが、まだまだ元気で頑張っていらっしゃる諸先輩方がいて、さらに下から若いアーティストがどんどん出てきている。でもスポーツと違って音楽は勝ち負けではないので、経験もひとつの武器になるのかなと思います。その人が歩んだ道があるからこそ、その人にしか出せない味わいが出てくる。今後、そういう音や節が自然に出せたらいいですね。

NAOYUKI FUJII
藤井尚之 1964年12月27日、福岡県生まれ。83年に7人組バンド・チェッカーズのサックスプレイヤーとして『ギザギザハートの子守歌』でデビュー。92年にチェッカーズ解散後、ソロミュージシャンとして多方面で活躍。映画『教祖誕生』や『天国までの百マイル』などのオリジナルサウンドトラックを手がけ、F-BLOOD(実兄・藤井フミヤと)や藤井尚之 with The Travellersなどのユニット活動、タッキー&翼やV6ほか、さまざまなアーティストへの楽曲提供も行っている。
http://naoyukifujii.net/

『foot of the Tower』
HATS UNLIMITED
発売中