開幕戦は、まさに加地が懸念した点が露見することになった。(C)SOCCER DIGEST

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 満員のパロマ瑞穂スタジアムに乗り込んで初めてJ2のシーズンを名古屋との開幕戦に挑んだ岡山は0-2で敗れた。「ちょうどいい相手ですね。自分たちの力を見せれる相手だと思いますから」と語ってプロ20年目のシーズンを迎えた加地亮も、試合終盤に自軍で足を滑らせてボールを奪われたプレーが失点につながる、ほろ苦いスタートとなった。
 
 ただ、試合後の加地の表情が沈み込んでいたわけではない。「前半はそんなに悪くなかったんですけどね。相手もけっこう嫌がっている守備がきっちりとできていた」と試合を振り返りはじめ、「今日は良い勉強になったし、そんなに悲観することもない。最初からうまくいくとは思っていないんで、問題ないです」。最後には笑みを浮かべながらミックスゾーンを後にした。
 
 最初からうまくいくとは思っていない――。加地に焦りはない。
 
 今季の岡山は昨年まで主軸を担ってきた岩政大樹や矢島慎也らが抜け、新たに加入した選手たちと、また違う特色のチーム作りを進めている。周囲は戦力ダウンと受け止めがちだが、加地自身はチームが新しくなることにやりがいを感じたからこそ、今季も岡山と契約を結んだ。
 
「また新しいことができるんじゃないかっていう期待があった。チームがどういうふうになっていくんだろうという中で、僕もいろいろ関わりたいなと思った」
 
 そして、プレシーズンから順調に調整を続けてきた加地は開幕前、「今年は全員攻撃、全員守備じゃないですけど、さらに運動量のいるサッカーになる。躍動するといか、さらに動きのあるサッカーになると思いますね」と新チームが目指すサッカーの方向性を語りながら「それを本番でやれるかどうかがまず課題になってくる」と予見していたが、開幕戦はまさに加地が懸念した点が露見することになった。
 
 新キャプテンに就任した喜山康平が「一番大事な本質のところで相手が上回っていた」と開幕戦を総括したように、運動量、球際といった根本のところで岡山は名古屋を上回れなかった。
 
 そして、その要因は「なんか恐る恐るやっていた。もっと自信を持ってできれば」と加地が指摘したメンタル面によるところが大きかった。岩政という精神的な主柱がいなくなった新しいチームの最大の課題は、このメンタル面になるのかもしれない。
 そんな不安が見えた開幕戦だったからこそ、加地が果たす役割も重要になってくる。「当たり前の水準をもうちょっと上げていかないと上には行けない。そう思うことを当たり前だとみんなが思えるような状況を作っていきたい」と語る加地が、これからどんなアプローチをしていくのか注目したいところだ。
 
 37歳になっても老け込む様子はまったくなく、「ベテラン感みたいなのはまったく出したくないと思っているし、いつでもフレッシュな状態でいたい。その気持ちがなくなったら辞め時やなと思うし」と語ってイキイキと20年目のシーズンをスタートさせている加地が、これからどんな形で新しいチームが進むべき道へと導いていってくれるだろうか。
 
取材・文:寺田弘幸(フリーライター)