デビュー戦でアシストをマークした岩崎。キレのあるプレーを見せた。写真:川本 学

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 昨年の高校NO.1ストライカーが、Jデビュー戦で早くも躍動した。
 
 京都橘高から京都へ入団したFW岩崎悠人は、リザーブとして開幕戦のメンバー入りを果たした。この日の京都は先制点を奪われ、前半はシュート1本に終わるなど苦戦を強いられていた。
 
 後半になっても流れは変わらず、57分にリードを2点に広げられると布部陽功監督が動く。交代選手としてベンチに呼ばれたのは岩崎と仙頭啓矢。ともにJリーグデビューとなるルーキーふたりに反撃の望みを託したのだ。
 
 その狙いは的中する。まず、仙頭が中盤でゲームメイクして攻撃の流れを作り、チームは敵陣で仕掛ける場面が増えていった。
 
 そして、3-4-3の左シャドーに入った岩崎は「いつもだったら単純なプレーでミスしていたけれど、今日は落ち着いて試合に入れました」と話したように、トラップやパスを正確にこなして攻撃を停滞させることなく周囲と絡んでいく。
 
 さらに前へ飛び出すスピードや、相手と競り合っても当たり負けしない身体の強さを発揮。ボランチの吉野恭平は「前線が停滞していたところで、悠人がアグレッシブにかき回してくれた」と岩崎投入の効果を説明している。
 
 本人も「開幕までの1週間は消極的なプレーが続いていたので、今日出たら積極的にチャレンジしていこうと思っていた。そこは思い切ってやれました。今まではミスを恐れたり、監督やトゥーさん(闘莉王)から言われることを気にしてやっていたけれど、今日は楽しくプレーできました」と手応えを感じている様子だった。
 
 チームは徐々に流れを取り戻しながら5バック気味に守備を固める相手を崩せずにいたが、終了間際に攻勢が実を結ぶ。中央から左サイドへ展開すると、湯澤聖人を経由してパスを受けた岩崎は右足でゴール前へクロスを送り込む。ボールは相手CBとウイングバックの間にポジションをとったケヴィン・オリスの頭を正確に捉えてネットを揺らした。
 
 この時、GK児玉剛は前に出てクロスに対応しようとしたが、届きそうで届かない絶妙のコースを描いたボールを前にトライすることができなかった。岩崎は「ケヴィンが入ってからは、彼にボールを当てるという意識でやっていた。(アシストの場面は)中を見たらケヴィンが一番大きいので、蹴ったボールに上手くあわせてくれました」と振り返っている。
 残念ながらチームは1点を返すに留まりホームで迎えた開幕戦を勝利で飾れなかったが、岩崎は約30分間のプレーで大きなインパクトを残した。これまでもチームメイトからはポテンシャルの高さを認める声が聞こえてきたが、この日ゴールを決めたケヴィン・オリスは「悠人のクロスはパーフェクト、自分は合わせるだけだった」と得点シーンについて語った。
 
 さらに「彼には良いスピードがあり、チームに変化をつけられる。シャドーストライカーでプレーしている選手なので、ゴールと同じくアシストも重要になる。今日のアシストが自信になってくれればいいし、今度は自分が彼にアシストをしてあげたいね」と賞賛している。
 
 観客席には家族や京都橘高の恩師・米澤一成監督の姿もあった。米澤監督は「良いプレーだった。敗戦は残念だけど、(岩崎と仙頭の)ふたりにとっては上々のスタートだと思う。これを続けて欲しい」と教え子たちにエールを送っている。サポーターにとっても悔しさが残った試合の中で、ルーキーたちの躍動は今後への希望となったに違いない。
 
 京都で高卒ルーキーが開幕戦でデビューするのは「おそらくクラブ史上初」(クラブ関係者)だという。今季はU-20日本代表として世界大会を5月末に控えており、しばらくはクラブと代表を行き来することになる。プロ1年目からハードな日々を過ごすことになりそうだが、それは、さらなる成長への足がかりとなるはずだ。
 
 周囲が賞賛の声をあげる中で「J2の舞台では勝ちにこだわっていかないといけない。次は自分でゴールを決めて勝ちたいです」と悔しさもにじませている。プロとしての第1歩を踏み出した岩崎が歩む2017年に期待が膨らむ。
 
取材・文:雨堤俊祐(サッカーライター)