Jリーグが開幕した先週末は、スーパーラグビーもスタートした。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカのクラブに、アルゼンチンと日本から代表強化を前提とした二つのクラブが加わり、南半球最高峰にして世界最先端とも言われるリーグを構成している。

 日本のサンウルブズは、国内リーグ『トップリーグ』でプレーする選手で編成される。サッカーに当てはめればJリーグ選抜だ。外国人選手を加えつつも日本代表を多く集め、“準日本代表”の位置づけとなっている。

 25日の開幕戦の相手は、ニュージーランドのハリケーンズだった。昨季のスーパーリーグ王者との一戦は、相手チームの強さと、速さと、逞しさが、序盤から炸裂した。

 ボールを保持する選手がゲインし、相手側がタックルを浴びせ、ブレイクダウンによってボールの奪い合いが繰り広げられ、保持した側が攻める、というのがラグビーの基本的なゲームの動きである。ところが、サンウルブズ対ハリケーンズでは、ハリケーンズがボールを保持したらそのままトライへ結びついていくのだ。欧州チャンピオンズリーグのノックアウトステージに、アジアのチームが飛び込んだらこうなるのかな、といった想像をしてしまった。結果は17対83だった。サンウルブズの2年目のスーパーリーグは、厳しい幕開けとなった。

 それにしても、サッカーにおけるフィジカルコンタクトの概念が、ラグビーを見ると木端微塵に砕けてしまう。タックルが繰り出されるたびに、スタンドで観戦をしていても肉体の軋む音が聞こえてくる。脳震盪を起こしてもおかしくないようなぶつかり合いが、当たり前のように繰り返されていく。

 ラグビーとサッカーを、無条件に比較するつもりはない。ただ、ショルダーチャージであっさりとバランスを崩すサッカー選手を見ると、残念な思いを抱いてしまう。その選手が相手のファウルをアピールし、その選手が所属するチームのファン・サポーターが主審にブーイングをしたりするのは、最悪の連鎖である。サッカーでも世界のスタンダードとして問われる「フィジカルの強さ」の重要性が、置き去りになってしまうからだ。

 年齢についても考えさせられる。

 ハリケーンズのメンバーには、19歳から23歳の選手も多く含まれていた。日本なら「高卒ルーキー」、「大卒ルーキー」、「若手」とひとくくりにされる選手たちが、気負いも力みもなく、責任を持ってプレーしていた。

 年齢が評価基準のひとつになる日本とは異なり、外国ではピッチに立ったらひとりの選手として扱われる。デビュー直前やデビュー直後の選手はクラブ側が慎重に扱うが、過保護でも放任でもないバランスを探る。選手に自立を促す雰囲気が、メディアを含めて作られている。

 そんなことを考えながらブンデスリーガを観ていたら、17歳の選手がプレーしていた。レバークーゼンのカイ・ハフェルツだ。U−19チームからシーズン途中に昇格し、すでに14試合に出場している。

 188センチ、77キロのハフェルツは、デゥエルにも強い。チーム内の攻撃的なプレーヤーでは、1対1の勝率で上位に食い込む。細身の印象だが、局面でしっかりと戦うことができている。

 フィジカル的な資質には、生まれながらの違いがある。そのうえで言えば、強さや速さは人種や年齢がすべての構成要素ではない。大切なのは求めるかどうか、だろう。

 50歳になっても第一線でプレーできる選手が、日本にはいるのだから。