NHKの上田良一会長が2日の定例記者会見で、"放送と通信の融合時代"に即した受信料制度や、その運用のあり方等について検討する「NHK受信料制度等検討委員会」の設置を発表、27日には初会合が行われた。2019年からの総合テレビとEテレの常時ネット同時配信を目指すNHK。委員会では、そのための費用負担や営業経費の抑制、契約や受信料免除の合理的なあり方などを検討するとしている。

 さまざまな問題を抱えつつも2015年度、6625億円という過去最高の受信料収入を記録したNHK。

 現在、NHKの受信契約率は79%、支払い率は77%となっている。街では「地震があったりとか緊急ニュースになるといちばん速いのはNHKだというのがあるので」「子どもの番組でお世話になっているので」と受信料を支払うのが当然という人もいる一方、「母親になったら教育テレビ(Eテレ)とか観るようになれば払ってもいいのかな」「NHKの正確性に頼ることもあるので、"あっ、払っていない"と思う時もある」といった若者の声も聞かれた。


 NHKによると、昨年9月12日までに東京や大阪など、13の都道府県で190件の受信料をめぐる民事訴訟の提起があり、このうち133件は和解や訴えの取り下げ、32件はNHKの主張を認める判決、残りの25件は係争中だという。昨年8月にはワンセグ付きの携帯電話を所有する人にNHK受信料の契約を結ぶ義務があるのかが争われた裁判で、支払い義務がないことを認めたさいたま地裁判決が話題となった。

 放送法第64条1項では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定めている。世界各国でも公共放送と受信料の問題は起こっており、イギリスでは受信のための免許料の不払いで、2011年の1月〜6月の半年で20万人が逮捕されているという。そのような中、ドイツでは制度を見直し、受信機の有無ではなく、世帯単位で徴収する方式に改めている。


 元フジテレビ記者でジャーナリストの安倍宏行氏は「若い人たちがスマホで情報を得ている状況の中、システムがそぐわなくなってきている。NHKは公共放送だから、きちんとお金を集められるシステムが必要」と話す。


 ただ、NHKの常時ネット同時配信については「政府もそれを後押ししている節があるが、"いいじゃん"と簡単には言えない。民放からすると"民業圧迫"ともいえる。特に地方局はその存在意義が問われてしまうことになる。地方の言論とか取材網をゼロにするのは良くない。おそらく今後、地方での合併や淘汰は起きるが、それを見過ごさないで、どういう風に持っていったらいいのかを、ちゃんと視聴者に出していくことが重要」とした。


 元NHKアナウンサーの堀潤氏は、新人時代に受信料を払っておらず、「人事と営業部長に"堀君、わかってるよね"と言われました(笑)」とエピソードを披露。


「受信料を年金や税金のようにすればいいとか、NHKは"国営"だと間違って揶揄する人もいるが、あくまでも公共放送。つまり、大きな市民メディアだと思ってもらえればいい。ただ、集めた受信料をどういう形で使うのかは、国会で承認をもらうことになっていて、新しいことをやるためには色んな人達と交渉をしたりロビー活動を裏で行っている。その関係から、政府とズブズブだというイメージを持たれがち」と指摘した。

 ネット時代、確立された集金システムの中でNHKがどうあるべきなのだろうか。


 堀氏は「バラエティもスポーツも全部やっているが、ニュース専門チャンネルでいいじゃないかという声もある。ネットの特徴は、コメントなど、双方向でやりとりでき、視聴者もある意味で番組作りに参加できること。アーカイブも今以上に閲覧できるようにすればいい。つまり、"受信料"っていう古い言い方ではなく、"使用料"のようにして、"使えるNHK"になるべきだ」と訴えた。


 安倍氏も「市民におもねるような番組ではなくて市民が本当に見たいような番組を作って欲しいと思う」とし、さらに「基本的には我々がコンテンツにしかるべき対価を払うということだと思う。日本人は情報をタダだと思っているけど、情報はタダなわけではない。ちゃんとした情報にはちゃんとお金を払うという時代になってくると思う」とした。

( AbemaTV/AbemaPrime より)

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