サルはなぜ温泉に入るのか?

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日本の冬の風物詩ともいえる風景はあまたあります。その中でもとりわけユーモラスなものが、温泉に入るサルではないでしょうか。サルも人間と同じように、ポカポカとした気分を味わっているのか。あるいは温泉の効能である、血行促進により肩こりを解消しているのか、想像がつきません。

サル研究の歴史は浅い?

そんな疑問を解き明かしてくれるものが、和田一雄による『温泉ザル:スノーモンキーの暮らし』(彩流社)です。著者は京都大学の霊長類研究所の所長を20年にわたって務めるなど、霊長類学の第一人者というべき近日です。サルの生態調査は、餌付けに成功したのは1952年であり、戦後になってはじまったものだと記されています。

サルも寒さに強い?

本書ではサルが温泉に入る名所として知られる志賀高原の地獄谷の例が記されています。当初はサルは湯船にはつからず、温泉のパイプのそばで暖をとっていたそうです。それがなぜ温泉へ浸かることになったのか。餌のない冬場にリンゴ畑が荒らされるため、意図的に別の場所で餌を与えて被害を減らそうとしました。その際、餌が湯船に転がり込み、それを取ろうとお湯の中に入ったサルが、温かさを覚えて、ほかのサルも続くようになったようです。思わぬところで快楽を発見し、それを仲間に広めたのでしょう。あらためてサルが賢い動物だと知らされます。本書ではそんなサルの生態にまつわる興味深い話が多く収録されています。