小久保裕紀監督率いる侍ジャパン。王座奪還なるか!?

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いよいよ開幕が約1週間後に迫った第4回WBC。二刀流の怪物・大谷とメジャー組の投手たちを欠く日本は、総力戦で「最善の戦い方」をするしかない。ふたりの“優勝コーチ”による兵法指南!!

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2大会ぶりの世界王座奪還を目指す、小久保裕紀監督率いる侍ジャパン。メジャー組の投手たちの不参加、大谷翔平(日本ハム)の出場辞退などネガティブな話題が先行したが、ここまできたらもうやるしかない。優勝はどうすれば見えてくるだろうか?

そこで、過去のWBC日本代表でコーチを務め、見事に優勝した経験を持つ武田一浩氏、緒方耕一氏に投打両面にわたり侍ジャパンが勝つためのポイント、および絶対に注意すべき“落とし穴”をチェックしてもらった。

まずは投手部門。2006年の第1回大会での経験を踏まえ、武田氏は勝負のポイントをこう言い切る。

「はっきり言ってしまえば、先発は抑えてくれないとどうしようもないし、崩れたら負けも同然。国際大会は簡単にはひっくり返せないですからね。だから、逆に言えばベンチの采配がより勝敗に直結するのはリリーフ。それも継投のタイミングです

武田氏が特に強調するのは、投手の「タイプ」をベンチが考慮することの重要性だ。

最もやってはいけないのが、普段は先発の投手に、いきなり走者を置いた場面でリリーフさせること。僕は先発もリリーフも両方経験したからよくわかりますが、これは不慣れだと失敗する確率が非常に高いんです。走者を置いた場面では、リリーフ専門の投手を送るーーこれが鉄則中の鉄則。先発タイプをリリーフで使う場合は、必ず走者のいないイニングの頭から投げさせてあげるべきです」

また、先発投手をリリーフで投入した後、2イニング以上投げさせる“回またぎ”も要注意だ。典型的なのが、15年秋の「プレミア12」でリリーフ登板し、2イニング目に打たれた則本昂大(楽天)のケースだという。

「彼は球威があるし、投げっぷりもいいから一見、リリーフもやれそうですよね。でも、ああいう気合いで投げるタイプは、慣れないリリーフで投げると1イニング抑えたところで気が抜けてしまいがちです。これは投手の特性の問題ですから、適材適所で使うべしということです」

それを踏まえ、今大会のカギを握る投手は誰だろうか?

武田氏が迷わず名前を挙げたのは、牧田和久(西武)だ。海外でもレアなアンダースローで、前回大会経験者でもあり、そしてロングリリーフもこなせる右腕に対し、小久保監督も「困ったときは牧田」と信頼を寄せている。

「これは個人的な意見ですが、国際大会では抑えを固定できたほうがいい。2006年の第1回大会では、合宿に入る前から大塚晶則(当時レンジャーズ)を抑えに決めていたので非常に楽でした。先発が5回投げるとすれば、あとは6回、7回、8回を残りの投手全員で抑えればいいわけですからね。今回も、牧田を抑えにして必勝パターンを明確にしてしまう手もあると思います

パ・リーグ某球団のスコアラーも、初対戦で牧田を攻略する難しさをこう語る。

「牧田の良さは、地面すれすれの位置からボールが浮き上がってくること。そして、フォームが非常に素早いにもかかわらず、意外にボールが『来ない』。最遅では80キロ前後のカーブもあるので、打者にしてみれば待てずにスイングを狂わされてしまうんです」

また、同じリリーフでは秋吉亮(ヤクルト)も非常に調子がいい。自主トレからずっとWBC使用球で練習をしており、今では「NPB公式球のほうが違和感がある」というほどボールになじんでいるという。WBC球ではスライダーがより曲がるようになった、とも語っている。

秋吉、牧田のふたりで勝ちパターンを形成できれば、継投策はかなり楽になるはずだ。

◆この続き、緒方耕一氏による分析は発売中の『週刊プレイボーイ』11号「優勝コーチが直伝する『侍の兵法』」にてお読みいただけます!

(取材・文/木村公一 写真/小池義弘)