(写真提供=SPORTS KOREA)

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最近、韓国の若者やサラリーマンたちの間で共感を生んでいる単語がある。

“シバルピヨン”だ。

韓国の罵り言葉の代表格といえる「シバル」と、あることをするのに必要な金銭を意味する「ピヨン(費用)」を合わせた造語で、日本語で意訳すれば「くそったれ費用」「ちくしょう費用」とでもなるだろうか。

韓国の若者たちは風刺や皮肉が効いたユニークな新語や造語をよく作り出す。“シバルピヨン”も意味は明確ではないが、ストレスを受けたことによって「腹立ち紛れで使うお金」といったニュアンスで使われている。

「シバルピヨンでタクシー出勤だ」

SNS上では、このような書き込みをよく見かけるようにもなった。

「バスを乗ろうと思ったが腹が立ってタクシーに乗った。今日のシバルピヨンは5600ウォン」
「さっきイラっとしたからコーヒーを買った。これもシバルピヨンだな」
「こいつ(とある政治家)のせいで、また私がシバルピヨンを使うことになる…」
「今日も夜勤だ。手当もない。ムカムカするからシバルピヨンを使ってタクシーで出勤してやろう」

韓国の就業サイト「Incruit」が調査したところによると、成人男女10人中8人は「腹が立ったストレスでお金を浪費した経験がある」と答えたという。

韓国の若者たちの現状を知れば知るほど、ストレスがたまることがわかる。

彼らは恋愛、結婚、出産、人間関係、マイホーム、就職、夢を放棄した世代として「7放世代」などと呼ばれ、もし生まれ変わったら他国に生まれたいと願っているという。

韓国青少年政策研究院によると、「お金がないから結婚を迷う」という若者が全体の41.4%に達している。

韓国の少子高齢化はますます進む一方という指摘が絶えず、イギリスのオクスフォード人口問題研究所などは「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」という分析をしているほどだ。

また韓国では最近、怒りやすい人が増えているというデータもある。

韓国精神健康学会の調査によると、成人男女の半数以上が怒りをうまくコントロールできない“怒り調節障害”を患っており、10人に1人は専門的な治療が必要な状態だというのだ。
(参考記事:もはや風邪のように日常的な病気に…韓国成人の半数以上がかかる“怒り調節障害”とは

「お金を使わなければ火病(ファビョン)に」

怒りに苦しんでいる人が増加しているからだろうか。

韓国メディアの取材に答えた若者は、「腹立ち紛れにお金を使わなければ火病(ファビョン)になってしまう」などと答えている。

火病とは、積もりに積もった怒りやストレスが原因で体や心にもたらされる苦痛のことで、呼吸困難、食欲不振、うつ症状、不眠、全身の疼痛などが起こる「韓国人特有の病気」とされている。

つまるところ、韓国の若者たちはシバルピヨンを使うことで、ストレスを解消しているというわけだ。逆に言えば、ストレスを受けなければ使わなくても良かったはずのお金でもあるだろう。

いくら努力しても明るい未来が見えてこない、そんな絶望が若者たちをシバルピヨンという浪費に向かわせているのが現状なのもしれない。若者たちの苦悩をいち早く改善していくべきだと思うのだが…。

(文=慎 武宏)