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SEKAI NO OWARI

SEKAI NO OWARI ドーム・スタジアムツアー2017「タルカス」

2017年1月23日@さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)


ライブという概念を超えた壮大かつ深遠な空間が出現していた。SEKAI NO OWARIのドーム・スタジアムツアー2017「タルカス」の2日目、1月23日のさいたまスーパーアリーナ。


場内に入った瞬間にまず目に入ったのはアリーナ中央に設置された巨大樹だ。彼らは過去のステージでも巨大樹のセットを登場させてきた。彼らの演出が優れているのは単に大がかりなセットや仕かけがサプライズとして機能しているだけではなくて、彼らの音楽表現と密接に繋がっている点にある。


TEXT BY 長谷川誠

PHOTOGRAPHY BY 太田好治、アミタマリ、神藤剛、立脇卓





この樹木は多様な生命の共生する場所の象徴でもありそうだ。その根元が360度全方位型のステージになっていて、四隅の延長線上にトナカイ、鳥、象、オランウータンのキャラクターの造形物がいて、物語の進行のナレーターの役割も務めていた。






キャラクターたちによる「タルカス」の世界の説明に続いて、木の中の扉からメンバーが登場してのオープニングナンバーは「炎と森のカーニバル」だった。これが「タルカス」の物語の入り口。


Nakajin、 Fukase、Saori、DJ LOVEに加えて、ホーン、ストリングス、ベース、ドラム、パーカッション、総勢14名のサポートメンバーが参加していて、生楽器の割合が高いのが特徴的だ。メンバーはそれぞれステージの四方で演奏していて、数曲ごとに90度ずつ時計回り方向に移動していたので、パレードを観るのに近い感覚で楽しむこともできる。




木にサイケデリックな模様の照明が映し出されての「Death Disco」など、セットと照明の連動も見事だ。「Never Ending World」では生のストリングスと一体となってのヒューマンな歌と体温のある演奏が染みてきた。彼らは音楽面でも着実に進化し続けている。




「タルカス」の最大の特徴は全編が大きなひとつの物語となっていたこと。しかも、これまでに発表された曲の数々がその物語のピースとなり、繋がっていた。彼らはファンタジーという手法を駆使して、世界の光と闇を浮き彫りにし、現実といかに向き合っていくのか、音楽によって問題提起してきたアーティストである。首尾一貫してブレることがないからこそ、こうした有機的な流れを作ることが可能になったのだろう。



前半のラストは音源化されてない英詩の新曲「Monsoon Night」。プリミティブでワイルドでありながら、ダークでマジカルな世界が不思議な余韻をもたらして前半終了。


前半9曲、15分の休憩を挟んで後半は7曲が披露された。その後半はくじらのバルーンが空を飛ぶなか、「眠り姫」でスタート。ホーンのドラマチックな調べで始まった「Love the warz -rearranged-」など、大きなストーリーで既存曲もあらたな表情を見せる。




人間味溢れる土着的な演奏が素晴らしかったのは「Hey Ho」。この曲ではSaoriがアコーディオンを弾いて、この夜、初めてメンバー4人が集結。後半のラストの「Dragon Night」が始まった瞬間、会場内が感動に包まれた。物語がこの曲によって見事に着地していたからだ。彼らは争いが絶えないこの世界で希望の歌を奏でていた。



彼らの音楽が多くの人々に支持されてきたのはエンターテインメントとして優れているから、ポップで親しみやすくてキャッチーだから、という理由だけではないだろう。「タルカス」はFukaseが現在制作中の絵本「タルカス」のストーリーに基づいて制作されたとのこと。この物語は現実の社会とも対応している。彼らの音楽がここまで支持されるのは彼らが崇高な理念を、説教くささや押しつけがましさの一切ない、極上の美しいエンターテインメントとして表現しているから。



と同時に、あらたな表現の可能性を切り拓いていく旺盛な創作意欲と冒険心は観る側にとってもスリリングな体験となっていくからだろう。志の高さと柔軟かつ自由な発想こそがSEKAI NO OWARIを特別な存在にしていると思うのだ。



客席がPark、Market、Hospiatl、Cafe、FACTORYなどに区分けされていて、「タルカス」の世界を形成していて、“観る”というよりも“参加する”、いや、その世界の住人として“生きる”という感覚を体験できるステージでもあった。コンサート、ショー、ミュージカル、アミューズメントパークなどなど、様々なエンターテインメントの要素を自在に融合させた楽しい空間なのだが、それだけではない。感じたり、考えたりするきっかけにもなる。胸の中に何かを灯してくれるステージでもあった。




SETLIST


01.炎と森のカーニバル

02.Death Disco

03.虹色の戦争

04.死の魔法

05.ムーンライトステーション

06.青い太陽

07.Never Ending World

08.マーメイドラプソディー

09.Monsoon Night

[休憩]

10.眠り姫

11.Love the warz - rearranged-

12.Error

13.天使と悪魔

14.SOS

15.Hey Ho

16.Dragon Night

[ENCORE]

01.RPG

02.インスタントラジオ