ヘイリー・スタインフェルドと結構かましたガエル・ガルシア・ベルナル
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 まさかのハプニングで幕を閉じた映画の祭典は、今のアメリカを象徴するかのようにドナルド・トランプ大統領への不満が噴出していた。司会を務めたジミー・キンメルこそコメディアンらしく笑いを交えながらトランプ大統領へ痛烈なメッセージを送ったが、賞のプレゼンターや受賞者からはかなり直接的に政治の誤りを訴える声が上がった。

 アカデミー賞授賞式でセレブたちが感謝の言葉とともに自分の意見を述べるのは珍しいことではない。昨年、悲願のアカデミー賞主演男優賞を手に入れたレオナルド・ディカプリオも地球温暖化の影響を訴え、環境保護を世界に向かって熱弁した。しかし、現職のアメリカ大統領とその政策を、登壇する人たちがこうも次々と批判したのは異例の事態と言っても過言ではないだろう。

 『スーサイド・スクワッド』でメイク・ヘアスタイリング賞を受賞したアレッサンドロ・ベルトラッツィの「私は移民です。私はイタリアから来たんだ。この賞は移民のみんなのものだ!」という力強い言葉もインパクトを残したが、外国語映画賞を獲得した『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督も強烈だった。アスガー監督はトランプ政権の入国禁止令に反発して授賞式には出席しておらず、代理人が「非人道的な法律によって差別され、アメリカへの入国を許可されなかった私の国のほか6か国の人たちを代表し、私は欠席しています」と声明文を読み上げると、会場は大きな拍手と歓声でそれに応えた。

 長編アニメ映画賞でもこの流れは続き、プレゼンターとして登場したメキシコ出身の俳優ガエル・ガルシア・ベルナルは、受賞作を読み上げる前に「メキシコ人として、ラテンアメリカ人として、外国人労働者として、人間として……私たちを分断しようとする壁がどんなかたちであれ、私はそれに反対する」と高々と宣言した。

 司会のキンメルを除くと、登壇した人たちがステージで話せる時間は長くて約30秒。一生に一度かもしれないその時間を使ってでも、ハリウッドの映画人たちはトランプ大統領への不満を口にしていた。(編集部・海江田宗)