By Phillip LeConte

自動車のハンドルを握る際に携帯電話・スマートフォンを操作することは日本の道路交通法でも禁止されている行為ですが、ついにと言うべきか、自動車保険の保険料率が引き上げられる事態がアメリカで起こっているようです。

Your Car Insurance Rates Are Going Up Because Everyone Keeps Texting and Driving

http://www.cnbc.com/2017/02/26/your-car-insurance-rates-are-going-up-because-everyone-keeps-texting-and-driving.html

カリフォルニア州マリナ・デル・レイに住む女性のバレッタ・ラベイさんは、彼女の17歳の娘・ニッキーさんが免許を取得したことから、自家用車の保険に娘の運転を含める手続きをとりました。いわゆる「ファミリー保険プラン」への変更だったのですが、なんと保険会社から届いた見積額は年間で4709ドル(約53万円)というものだったとのこと。もちろんバレッタさんは非常に驚き、NBC Newsに「2倍の金額よ!信じられない!」と答えています。

53万円が「従来の2倍」というところにも驚いてしまう出来事ですが、今のアメリカではこのような現象は珍しいものとは言えない状況が生じているようです。アメリカでは自動車保険の支払額が高騰する事態が起こっており、その平均額は926ドル(約10万4000円)と2011年以降で約16パーセント増加しているとのこと。そしてその原因は大方の予想どおり、運転中にスマートフォンなどを操作することで注意が散漫になり、前方不注意などで事故が起こるケースが増加しているというものだそうです。



By refreshment_66

アメリカでは現在、年間4万人が交通事故で命を落としています。これは2014年からの1年で14パーセントという急増を見せているのですが、この増加率は過去53年間で最も急激なものだとのこと。そして、2015年に発生した事故のうち約9パーセントはドライバーの不注意に起因するものであることが、米国運輸省道路交通安全局の調査から明らかになっています。この件について、アメリカ最大の損保企業である「ステートファーム保険」のクリス・ミューレン氏は「今は『メールがメインで運転は二の次』という時代です。ハンドルを握る時、その習慣をやめさせて安全な運転をさせることは簡単ではありません」とNBCのインタビューに語っています。

また、この現象は若年層だけに見られるものではないとのこと。ステートファーム保険による調査では、全年齢層のドライバーの36パーセントが運転中にメールを打った経験があるとのこと。そしてこのような傾向が、保険料率の高騰を引き起こす原因になっているというわけです。サウスカロライナ大学 Center for Risk and Uncertainty Management(リスクおよび不確実性管理センター)のロバート・ハートウィッグ氏は「不注意運転のまん延により、アメリカ人全体が高い保険を払わされることとなっています。事故の原因を説明できるほかの理由がなく、そのような運転をしていたドライバーもその事実を認めようとはしません。そのため、保険全体のコストが上昇することになります。私たち全員が不注意運転の犠牲者といえます」と語っています。



By Jason Weaver

実際に自分自身がどれぐらい注意力があるかというのは、以下のようにして簡易的に把握することができます。

注意をうまく働かせるために | 安全運転ほっとNEWS | 東京海上日動火災保険



「ゲームをしたりテレビを見ているときに、自分の名前を呼ばれても気がつかないことがある」「友達が髪型や服装のイメージを変えたことに気が付かないことがある」「友達と話ながらメールを打っていると、間違えて操作してしまうことがある」のチェック項目が多ければ多いほど、注意の「選択と振り分け」が苦手なので、安全確認や運転操作が行き届かない可能性大。さらに「片づけなどの単純作業をしていると、すぐに飽きてしまうことがある」「ドラマや映画を見ているときにぼんやりしてしまい、気がつくと物語の筋がわからなくなることがある」「周りの音が気になって、なかなか仕事に集中できないことがある」のチェック項目が多ければ多いほど、注意の「集中と持続」が苦手で、集中力が低下し注意を保つことができない可能性大です。

なお、「運転しながらスマホを操作すると、衝突リスクは6倍に(飲酒運転は4倍)」「歩きながらスマホを操作すると、視野が20分の1に」「ながらスマホをすると、操作を終えてから15秒間は注意散漫・記憶曖昧に」という恐るべき科学的事実などをまとめた「神経ハイジャック――もしも「注意力」が奪われたら」の中でストレイヤー博士が言及している「運転中にメールの送受信をした場合、自分ではすぐさま運転に戻ったつもりでいても、そうではない。肉体的にはきちんと運転しているように見えても、心(脳)はここにあらずで、まだメールのほうにある。心と体が一致した、本来の状態になるのには、さらに15秒ほどかかる。」という点も覚えておくべきです。