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近年、邦ロック界を席巻している“踊れるロック”ムーブメント


CDに代表される音楽ソフトの売れ行き不振が続く一方、ライブや野外フェスといった音楽興行の収益は盛況だと言われている。


音楽を中心としたライブエンタテインメントの主催者で構成された、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会によれば、2015年の国内開催コンサート数は2万9646本で、総来場者数は4753万人。


一方、CDが最も売れたとされる1998年は、コンサート数が9500本で、来場者数は1430万人となっており、音楽ファンの欲求が音源試聴から体験へと向かっていることがわかる。


こうした動きがあってか、近年現れたムーブメントに“踊れるロック”が存在する。エルヴィス・プレスリーの時代からロックは踊れるものとして親しまれてきてはいるのだが、同ムーブメント下で言われる“踊れる”とは、4つ打ちであることを指す。


代表的なアーティストとしては、関西出身の4人組バンド・KANA-BOON、下北沢を活動拠点とするKEYTALKが挙げられるだろう。いずれも2000年代後半に結成されたバンドだ。


4つ打ちは、ダンスフロアで踊ることを念頭に置いた1970年代のディスコミュージックで多用されたものであるが、数十年に渡り“踊れるもの”として多くの人々に認識されていることは確かである。


 


BPMが運動をつかさどる小脳を活性化させる


ここで付言するならば、そこにはBPMが少なからず関係しているだろう。1分間あたりの拍数、つまりBPMが運動をつかさどる小脳を活性化させるということは一般的に言われているが、なかでも人間が知覚しやすいのは67〜200BPMだという。


さらに、歩行に快適なBPMはおよそ120であると考えられているが(栗林龍馬・入戸野宏「背景音のテンポが行動ペースに与える影響」総説・資料を参照)、ディスコミュージックにおけるBPMはまさに120前後なのである。


それに比べ“踊れるロック”のBPMは170台も珍しくない。これが積極的に受け入れられているということは、歩行以上のより激しい動きを身体が求めている現れともいえるのではないだろうか。


また、1980年代後半から90年代はじめにかけて生まれた彼らにとって、その親がディスコ世代だったということも4つ打ち“踊れるロック”の誕生と無関係ではないだろう。


現在、ファッションの世界は80年代ブーム。タイトなペンシルスカートや、MA-1ジャケットは、バブル期に流行したものである。また、当時の女性に見られたかきあげヘアや太い眉も現在のトレンドとなっている。そうした風潮が音楽に影響を及ぼしていてもなんら不思議はないだろう。


 


KANA-BOONやKEYTALKらが牽引する“踊れるロック”


では、実際の楽曲を聴いてみよう。KANA-BOONの「ないものねだり」は、2013年に発売され、ブレイクのきっかけとなった楽曲。チャーハンを作る場面が印象的なミュージックビデオ(以下、MV)の同曲は、高揚感をもたらす十分なテンポの速さと、キャッチーなメロディーを特徴としている。



KANA-BOONはその後、「1.2. step to you」「シルエット」といった“踊れるロック”楽曲を次々にリリース、ヒットを連発し、フェスでトリを務めるほどの存在へと登り詰めた。


では、2014年に発売されたKEYTALKの「MONSTER DANCE」はどうだろうか。4つ打ちはもちろん、変拍子、転調と様々な要素が詰め込まれたこの楽曲のMVでは、観客たちが縦ノリをベースに、サビでは同じ振り付けを寸分違わず踊っている様子が収められており、実際のライブでも同様の振り付けや掛け声を楽しむ観客たちを確認できる。



さらに4つ打ちを基本とするEDM、そのEDMフェスが日本でも2014年から開催されるなど、踊れるロックは今や一大ジャンルとして顕在化したと言えるだろう。


ちなみにEDMにおいて主流となっているBPMは128前後。“踊れるロック”に比べると遅いものの、その集客力は依然高く、2017年のサマーソニックでは、EDM界で世界的な知名度を誇るカルヴィン・ハリスがヘッドライナーとなり話題を集めた。


“踊れるロック”は、多くの観客の身体に響き渡り、虜とすることに見事成功した。彼らのようなバンドが生み出していく作品は今後どのような形で観客を魅了するのか。“踊れるロック”組の今後の動向に要注目だ。



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