Q:健康で長生きするためには、男性は筋肉が大事だと聞きました。私は運動はあまり好きではないので、男の割に筋肉量は少ないように思います。筋肉量を増やすアドバイスをお願いします。
(50歳・家具販売店勤務)

 A:男は筋肉が大事です。それを証明するデータとしては、1994〜'95年に厚生労働省の研究班が、放射線影響研究所(広島市)で定期的に健診を受けている男性(47〜92歳)626人を対象に行った研究結果があります。
 全員の筋肉量を調べたところ、40歳以下の標準値の8割以下の人の割合は、60歳代で52.8%、70歳代で70.6%と、高齢になるほど多かったそうです。そして12年間にわたり追跡したところ、その間に197人が死亡。亡くなった人たちを、筋肉量が40歳以下の標準値の8割より多い人と少ない人の二つのグループに分けて調べ、比較しました。

●歩いて筋肉量を増やす
 その結果、死亡率は年齢などほかの影響を取り除いても、筋肉量が少ないグループのほうが、多いグループよりも1.9倍高かったのです。
 死因別でみると、筋肉量が少ない人では、多い人より、肺炎や慢性閉塞性肺疾患など呼吸器の病気が2.6倍多く、がんや脳卒中では両者に有意な差はなかったそうです。
 筋肉量が少ないグループのほうが死亡率が高い理由については、全身が衰えて免疫力や抵抗力が落ち、肺炎など呼吸器の病気になる危険性が高まるのではないかと、研究班は分析していました。
 この研究では、女性も調査しましたが、明確な差はみられなかったそうです。その理由としては、女性はもともと筋肉が少なく、加齢に伴う筋肉量低下が男性より緩やかなためとみられています。
 筋肉量の低下を防ぎ、さらに増やす運動としては、筋トレもよいのですが、いちばんよいのは歩くことです。体の筋肉の約7割は腰から下にあるので、歩行で下肢を鍛えることで、もっとも効率よく筋肉量が増やせるのです。
 外国の研究では、デンマークの研究者たちが「太ももの細い人は、そうでない人と比べて短命になる」との調査報告を発表しているようです。

山口康三氏(回生眼科院長)
自治医科大学卒業。眼科医、漢方内科医。食事、運動、睡眠などを改善する生活改善療法を指導し、眼科の病気や生活習慣病の治療に成果を挙げている。日本綜合医学会理事長。