春休みはまだちょっと先ですが、「一足お先に3泊5日でハワイに行ってきました☆」「3泊5日でロサンゼルスのディズニーランドに行ってきました〜!」という人もいるのでは?海外旅行につきものの時差ボケ。せっかくリフレッシュしたのに眠い、眠すぎる、でも眠れない……、そんな時差ボケ解消法を教えてもらいましょう!

アメリカ帰りは楽、ヨーロッパ帰りはツライわけ

海外渡航者の3分の2が時差ボケを経験している、と言われます。時差ボケとはひと言で言うと体内時計の乱れです。眠くてしょうがないだけでなく、めまい、疲労感、食欲不振、頭痛などの症状が見られます。もし2週間経ってもこうした症状が続くようでしたら、診察を受けたほうがいいでしょう。 

まず基本的な知識から。一般的に、飛行機でハワイやグアム、アメリカ本土など東に向かう場合は、「行きがつらく、帰りが楽」です。現地に着いたときは頭はスッキリしていますが、帰国したときはドヨーンとしやすいです。反対に、ヨーロッパなど西に向かう場合は、「行きが楽で、帰りがつらい」パターンになります。

理由は体内時計の仕組みにあります。飛行機に乗って東に向かうということは、体内時計の周期を短くすることになるため、生活リズムを前倒しにする必要があります。これがつらさの理由です。逆に、東から西に向かって飛んでいる場合は、時間を遅らせることになり、体内時計を後ろ倒しにすることになります。人間、何かと早くするよりゆっくりするほうが楽なもの。明日から早起きしてくださいと言われても起きられないかもしれませんが、今日は夜更かししてくださいと言われると、案外簡単にできるものです。

これは人間の体内時計の1日が、地球の自転24時間ときっかり同じではないことが理由です。体内時計は24時間10分ぐらいで1回転します。このズレが、予定を後ろ倒しにすることを楽にしているのです。ですから、東から帰ってくる時は楽、西から帰って来る時はややつらい、海外旅行に行く際は、あらかじめそんなふうに心づもりしておきましょう。

3日以内の海外旅行なら現地時間に合わせないほうがベター

私たちの体内時計はとても精巧にできていて、今いる場所の時間に同調しようとします。体内時計を調整するのは睡眠と食事です。現地の時間に合わせて食事し、眠ることで現地時間に同調していきます。もちろんすぐ同調できるわけではなく、1日に2時間ぐらいずつ、現地時間に合わせていきます。

なので、3日以内の海外旅行であれば、同調させないほうがベター。3日ぐらいなら体内時計と実際の時間に誤差があっても問題ないからです。たとえば日本からハワイに着く便は早朝着が多い。午前中は少し眠いと思いますが、海外に来たうれしさでなんとかなってしまう方も多いのではないでしょうか? 滞在期間が短い場合はムリに現地の食事時間、睡眠時間に合わせる必要はありません。

では4日以上、滞在する場合は? 体内時計は渡航先の現地時間に近くなっているので、対策が必要になってきます。日本に到着する時刻によって違ってきますが、大切なのは帰りの機内の過ごし方にあるのです。

日本に夜、到着する便なら、後半はなるべく寝ないこと。映画を観たり、ゲームをしたりして頭を使ってください。日本到着後、家に帰ったら、ふだん通りの夜のパターンで過ごします。お腹が空いていれば軽く夕飯を食べ、お風呂に入って就床してください。

朝、到着する便であれば、機内の後半はたっぷり寝るようにします。そして日本に着いたら、サングラスをしたり帽子をかぶったりして日の光をなるべく目に入れないようにしながら家に直行。帰ったらすぐ午前中いっぱいは寝ます。そしてお昼に起きて、明るい環境の下でしっかりお昼ごはんを食べること。その後は多少眠けがあっても、なるべくふだん通りに活動します。そうして夜に眠れば、少しずつ時差ボケが軽くなっていくでしょう。

それではみなさん、よい旅を! 

時差ボケも旅行のうちですが、長引く時差ボケは原因が他にあるかもしれません。



■賢人のまとめ
3日以内の海外旅行なら、現地でもふだん通りの生活パターンでOK。4日以上の場合は、帰りの機内での過ごし方に注意してください。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。