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今最も注目したい5万円前後の時計といえば、SEIKOが昨年販売した「プロスペックス ダイバースキューバ LOWERCASE限定モデル」シリーズだ。その時計をディレクションしたのが、本誌連載陣としてもおなじみのクリエイティブディレクター・梶原由景氏。そこに込められた想いやヒットの理由を聞いてみた。

SEIKOのレガシーにファッション性を融合



SEIKOがファッションシーンで熱い。これまではいわゆる“メイド・イン・ジャパン好き”に強く支持されていたが、昨年ファッショニスタたちを中心に、「プロスペックスダイバースキューバ LOWERCASE限定モデル」シリーズがバカ売れした。その象徴が6月10日に400本限定で発売した「FREEMANS SPORTING CLUBエクスクルーシブ」。「アーバンリサーチ」と「FREEMANS SPORTING CLUB」という日米セレクトショップで同時発売したところ、ネット予約分は5分、店頭販売分も行列とともに瞬く間に完売した。

「SEIKOのレガシーに、ファッション性を融合させることが最大のミッションでした。近年、ファッションシーンで“SEIKOがいいよね”という気運が高まっていたのも追い風だったと思います」

とはいえ、気運が高まったからといって急に爆発的に売れるわけがない。梶原氏によって編み出されたファッショニスタたちが欲しくなる仕掛け、つまり“ファッション性の融合”こそが、起爆剤になったのは間違いない。


クリエイティブディレクター

梶原由景さん

幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE代表。本誌で「間違いだらけの“アプリde”飲食店選び」を連載中。デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信。

「アイコニックな『外胴プロテクター』は継承しつつ、文字盤や針は経年により、日焼けしたような塗料で仕上げました。また、あえて赤い文字を織り交ぜることで、いわゆる年代モノが持つ既視感を演出。ファッションシーンに多く存在する“ビンテージ嗜好”な人が装着したくなる仕様に仕上げています」

続いて6月後半に限定3000本ずつ「プロスペックス ダイバースキューバ LOWERCASE限定モデル」のスタンダードモデル5モデル(1万5000本)、11月にソーラークロノグラフ3モデル(9000本)が発売された。

「『SEIKOのダイバースキューバ』は1965年に初代モデルが登場して以来、高耐久&高機能でプロユースの道具として、多くのプロダイバーに親しまれているモデルです。今回ベースとなっているのは1975年に発売されたチタン製ケース採用の飽和潜水仕様600m防水ダイバーズ。それをタウンユースとして4〜5万円前後で手に入れられるようにしようと仕上げました」



SEIKO

プロスペックス ダイバースキューバ

LOWERCASE限定モデル

右:SBDN025 実勢価格:4万3200円

左:SBDN021 実勢価格:4万8600円

1975年発売のオリジナルモデルをタウンユース向けにダウンサイジングした外胴プロテクター付ダイバーズ。200mの空気潜水に対応。現在はベゼルが赤×黒のSBDN025のみが販売中。限定3000本。

●セイコーウオッチ  TEL 0120-061-012



SEIKO

プロスペックス ダイバースキューバ

LOWERCASE限定モデル

ソーラークロノグラフ

実勢価格:5万9400円

光発電機能搭載のムーブメントを搭載した外胴プロテクター付クロノグラフ。ステンレスケースには一部ピンクゴールド色硬質コーティングが施される。200mの空気潜水に対応。限定3000本。

ロレックスをひたすら分析し、ヒットの答えをみつけた



本シリーズを作るのに、いくつも購入して分析した時計ブランドがロレックスだったと明かす梶原氏。ロレックスはファッションシーンでも最も人気のある時計ブランド。「元々僕も10年くらい前に『シードゥエラー』を手に入れています。今回、ディレクションするにあたり、『エクスプローラI』『デイトナ』などを買い足しました。コレクターとして有名な知人に、ロレックスがウケる理由を徹底的に教わったり。そこからロレックス特有のデザインは論理的にビンテージ感を継承し、結果、普遍性のあるアイコニックなロレックスのデザインが産み出されていることが分かったんですよね」

ファッショニスタたちに支持されるもっとも大切な要素が、実はブランドのアイコニックなデザインやビンテージ感が継承されているストーリーだと分析した梶原氏。結果、産み出されたのが現在販売中の「プロスペックス ダイバースキューバLOWERCASE限定モデル」のスタンダードモデルとソーラークロノグラフ。だが、実はすでにスタンダードモデルの大半がほぼ完売状態。一方、ソーラークロノグラフもシリーズのなかで最も高額ながら、かなりの売れ行きだという。だからこそ、最初の一本として手に入れたい人は、ぜひ急いでチェックしてみて欲しい。

『プロスペックス ダイバースキューバ LOWERCASE限定モデル』を語る上で知っておきたい5つのKEYWORD

外胴プロテクター



1975年にSEIKOが世界に先駆けて開発した機構。ケースの外側に、プロテクターを被せることにより、回転ベゼルの誤作動を防ぎ、優れた耐衝撃性を実現する。

1975年のオリジナルモデル



“深海の黒い顔”の異名を取り、黒色イオンプレーティング処理を施したチタン製プロテクターを二重構造のケースの外側に採用。世界最高峰の水密性、気密性、耐食性や耐擦傷性などの耐久性能が盛り込まれたモデル。

FREEMANS SPORTING CLUBエクスクルーシブ



『FREEMANS SPORTING CLUB』の名称が表記されたSEIKO PROSPEXとのWネーム別注モデル。“DIVER’S 200m”と赤文字で記されているのもポイント。針とインデックスにはビンテージ調に仕上げた蓄光塗料を採用。

FREEMANS SPORTING CLUB



“MADE IN USA”にこだわった、普遍的なデザインと高い品質を併せ持った現代を生きる男性のための豊富なワードローブを提供するメンズクロージングショップ。2004年、NYにオープン。2013年には日本にも上陸した。

シリアルナンバー



限定モデルの証として、スダンダードモデル、ソーラークロノグラフともに共通して、ケースバックにはシリアルナンバーが刻印されている。ナンバーは0001/3000〜3000/3000までひとつとして同じ物はない。

 

文/武田裕紀 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2017年3月号より抜粋