転職コンサルタント 森本千賀子●1970年生まれ。リクルートエグゼクティブエージェント・エグゼクティブコンサルタント。93年リクルート人材センター入社。2010年より現職。『35歳からの「人生を変える」転職』など著書多数。

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キャリアアップする、お金を増やす、家庭と仕事を両立させる、教養を高める。どうやったら「一段上」の自分になれるのか。達人たちのアドバイスを聞こう。

目的:家庭との両立
●教えてくれる人:転職コンサルタント 森本千賀子さん

私は転職コンサルタントとして、2000人以上の方の転職のお手伝いをしてきました。家では2児の母親で、中学1年と小学2年の息子がいます。仕事と家庭に加え、女性のキャリア支援や地方創生などに関する講演も年間80回以上お引き受けしていますから、圧倒的に時間が足りません。しかも夫は出張が多く、月曜日に出て金曜日まで帰らないこともたびたびです。私の実家は関西にあるので、親のサポートも期待できません。

わが家の場合は少し極端ですが、都会に住む共働きの家庭は、どこも似たような環境にあると思います。その条件の下で、子育てを含む家庭の運営に当たらなければいけません。だとしたら、時間当たりの生産性を上げていくしかない。そのために私が編み出した手法をご紹介します。政府が「一億総活躍社会」を掲げる世の中ですから、男性、女性を問わず参考にしていただけるのではないでしょうか。

まず私が実行しているのは「朝活」です。長男が小さかった頃は仕事が終わると保育園にお迎えに行き、帰宅して夕食をつくり、お風呂に入れて寝かしつけてから、残った仕事や家事を片付けるという生活でした。でも次男が生まれると、このやり方では立ち行かなくなり、いろいろ試した結果、朝活にたどり着きました。

夜、子供たちと一緒に寝てしまうのです。ただし5時間後に目覚ましをセットしておき、午後10時就寝なら午前3時に起きます。そして子供たちが起きてくるまでの間に、仕事の準備をし、家事を片付けるのです。これをすると、夜の10時から深夜2時という、睡眠におけるゴールデンタイムにしっかり眠れるため、睡眠の質がよくなり、生産性が高くなります。これは医学的にも証明されています。以前は夜にしていた家事も、朝に回しました。

会社に出勤する前に、前日の仕事をチェックして、そこで自分のやるべき仕事とアシスタントに任せる仕事を振り分けたり、その日に自分がやらなければならない「TO DO」をリストアップしたりしています。それをするとしないとで、1日の仕事の効率がまったく違ってきます。

私は何事をするにも、常に優先順位を考えるようにしています。その日にやること、その週にすべきこと、その月、半年、1年間にすべき自分なりの「TO DO」を決め、それに優先順位をつけるのです。

そうしておかないと、時間の使い方がルーズになります。たとえばスマホでSNSなどを見ていると、あっという間に1時間ぐらい経ってしまうものです。この「だらだらスマホ」は第一にやめるべき習慣です。

■お風呂や絵本の読み聞かせ

仕事においても家庭においても、私は自分でやるべきことと、私でなくてもできることを整理し、ほかの人でもできることはできるだけアウトソーシングしています。家事の合理化には、最新型の家電を取り入れるようにしています。たとえば乾燥機つき洗濯機などでも、技術は日進月歩。最新情報に接していることが大切です。

仕事については、コアな業務以外は私専属の2人のアシスタントにお願いしています。ただその場合も、単純に「これやっといて」ではいけません。その業務の意義や、「どういう想いでこの仕事をやっているのか」という大義を共有することが大切です。仕事への想いやスタンスに共感を覚えることで、彼女たちならではの工夫が仕事に加わってきます。

そうやって私の業務を侵食してもらって、私自身が創造的に使える時間を増やしてもらうのです。

仕事ができる人ほど仕事を抱え込みがちですが、抱え込まずに、仕分けして人に振ることが大切です。その一方、「母親でないとできないこと」としては、子供と一緒にお風呂に入ってあげるなどのスキンシップ、寝る前の絵本の読み聞かせ、ストレッチなどの儀式があります。私の場合、子供と一緒に過ごす時間は普通のお母さんの半分程度しかないので、その時間の質をいかに上げるかを考えます。

私の母も働いていたのですが、思い返すと母は、授業参観や展覧会などの学校行事は、どんなに忙しくとも必ず来てくれていました。私自身、いまだにそのことを覚えていますから、学校行事には必ず参加しています。

■「家族外家族」との関わりが自立心を養う

そうした、私でなければできないこと以外は、信頼するベビーシッターの方にお任せしています。シッターさんの場合も、ただ「子供の世話をしてください」と言うのではなく、私自身の仕事観、人生観を伝え、共有するよう心がけています。

価値観を共有できる人にシッターをお願いできれば、それを理解したうえで子供たちに向き合ってもらうこともでき、安心して任せられます。彼女のおかげで私は、子供たちに対し罪悪感を覚えずに済んでいます。

健康管理にも気をつけています。睡眠時間を意識して睡眠の質を上げ、食事にも気を使い、朝をメーンにしています。運動も大切です。私はフルマラソン出場をめざして、休日にはランニングをしています。

「ストレスフリー」も大事なポイント。ストレスをためないためには、「やりたいこと」をやること。ただしそのためには、「やるべきこと」をやっておく必要があります。やるべきことをやった結果として、やりたい仕事にたどり着けるようになると、仕事にもやりがい、充実感、わくわく感が出てきます。

長男は2016年、受験を経て私立の中学へ入学したのですが、6年生の夏休みから準備を始めるというスロースターターでした。その遅れを取り返すために家庭教師を頼むことにしました。受験勉強の場合は特に顕著ですが、親子があまり密着しすぎると、よけいな葛藤が生まれます。親としては、つい小言が多くなる。それでは逆効果なので、親でなければできないこと以外は、すべてプロの方にお願いしました。

結局、子供の自主性を尊重し、かまいすぎないことが、子供の成長にも有益です。家庭教師の先生にも、一から十まで教えるのではなく、計画の立て方や勉強の仕方などを教えてもらい、極力、本人に考えさせるようお願いしました。親は小言を言う代わりに、子供を褒めて自信を持たせることを心がけました。

働く女性には、子育てを親に手伝ってもらっている人が多いでしょう。ただ、おばあちゃんに子供の世話を頼むことが、ベストだとは限りません。子育てについての価値観が違うと衝突のもとになりますし、祖父母はそもそも孫を甘やかすものです。実はシッターさんのように、身内のようでいて一定の距離のある人のほうが、甘えが出なくていいと感じています。

シッターさんは、まさに私にとっての「パートナー」「サポーター」という位置づけです。一緒に子供の成長を見守っていただく「家族外家族」の存在が、私の生活スタイルを支えてくれているのです。

▼「家庭との両立」のためのアドバイス

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▼今年「やるべきこと」リスト6

1. 朝3時に起きる
2. 優先順位を考える
3. 「任せられること」を仕分けする
4. プロに任せる
5. 生活の質を上げる
6. 子供を褒める

夜10時から朝2時が良質の眠りを得られるゴールデンタイム
 

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▼今年「やめるべきこと」リスト6

1. 夜更かしの作業をやめる
2. だらだらスマホをやめる
3. 「抱え込むこと」をやめる
4. ストレスをなくす
5. 子供に関与しすぎない
6. 実家の親に頼りすぎない

「SNSはPCから」というような縛りを設けるといい
 

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(久保田正志=構成 永井 浩=撮影 AFLO=写真)