米ナスダック幹部が語る「ブロックチェーン」の3つの利点

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ナスダックでブロックチェーン戦略担当のバイスプレジデントを務めるFredrik Vossは、ブロックチェーンに最も精通した大手企業幹部の一人だ。

ベイン・アンド・カンパニーが最近公表したレポートによると、金融機関の80%はビットコインが金融業界に革命をもたらすと考え、2020年までにビットコインを導入する予定だという。ナスダックは、大手金融機関として初めてブロックチェーンを導入し、未公開株式取引システム「Nasdaq Linq」を立ち上げた。この他にも、ナスダックはブロックチェーンを活用した電子株主投票システムをエストニアで試験運用している。

Vossはこれまでの経験に基づき、ブロックチェーンについて次のように述べている。

「資本市場でブロックチェーンが幅広く普及するにはまだ長い時間を要するが、その将来性は3年前に比べてはるかに有望だ」

筆者のポッドキャスト「Unchained」の最新版で、Vossはこれまでの経験や、ナスダックによるブロックチェーンの評価、今後の普及に当たって必要な改善点などについて意見を述べている。彼はインタビューの中で、「ブロックチェーンの導入は、規制当局に特別な監視用ゴーグルを提供するようなものだ」と述べている。

Vossによると、ナスダックがブロックチェーンに期待するのは「決済プロセスの簡略化」「規制当局に対する透明性の向上」「発行者と投資家の権利移転の迅速化」の3つだという。

Nasdaq Linqはトランザクションの効率的とデジタル化を実現し、ミス防止にも貢献しているという。電子株主投票システムに関しては、遠隔からの議決権行使を可能にし、委任投票の管理も簡略化された。

「企業の株主には、持ち分に応じてトークンが配布され、代理人にそのトークンを移転することができる。従来は代理人を通じた議決権の行使は管理が困難だったが、ブロックチェーンの導入によって大幅に改善された」とVossは話す。

バックエンド業務に多大なメリット

「ナスダックは20年以上前からテクノロジー企業であり、ブロックチェーンの導入はごく自然な成り行きだった。ブロックチェーンの出現は、資本市場の参加者たちが、エコシステムの改善策を議論する良いきっかけになった。仮にブロックチェーンが資本市場で広く普及しなくても十分な価値をもたらした」とVossは言う。

Vossによると、近年の金融ITのイノベーションは、主にトレーディングなどフロントエンド業務で起きていたが、ブロックチェーンは取引の承認や決済といったバックエンド業務に革新をもたらしたという。また、規制当局にとっても、取引の透明性が向上したことでシステミックリスク(金融機関や市場の機能不全が広範囲に広がること)など、金融市場が抱えるリスクを監視しやすくなったと彼は指摘する。

インタビューの詳細はポッドキャスト番組「Unchained」で確認して頂きたい。