50歳の誕生日を迎えたカズ。試合後に報道陣からの取材に対応した。(C) SOCCER DIGEST

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[J2リーグ開幕戦]横浜FC1-0松本山雅/2月26日(日)/ニッパツ三ツ沢

 夕焼けを背に、ド派手なコスチュームで現われた。この日、50回目の誕生日を迎えたキング・カズ、三浦知良。300人近い報道陣が待つ取材エリアに、鮮やかな上下ピンクのスーツをまとい──。熟練の記者たちからも「やっぱかっけーな」との声が相次いだ。

【J2 PHOTO】50歳のキングカズ、 ド派手なピンクスーツ姿も披露!!
 
「スタジアムに入った時に、誕生日おめでとうございますってファンの方々の声が聞こえましたし、フラッグやメッセージや、いろんな言葉をもらいました。まだ試合前でしたけど、なんか泣きそうになっちゃいましたね」
 
 顔をくしゃくしゃにして、笑った。
 
 1万3244人の超満員に膨れ上がったニッパツ三ツ沢球技場。シーズンの開幕戦を松本山雅と戦った横浜FCは、序盤から敵の鋭いフォアチェックに苦しむ。長身FWイバとの2トップで先発を飾ったカズだが、2列目に引いたりサイドに流れたりと微妙に位置を替えてボールを引き出すが、「松本はJ2のなかでもトップレベル。最初は勢いに呑まれたのもあるし、チームとして動きが硬かった」と、なかなか突破口は見出せなかった。
 
 それでもホームの横浜FCは、16分、MF野村直輝が豪快にミドルを蹴り込んで先制点を挙げる。リードを奪って精神的に余裕ができたのか、以降はCB西河翔吾を軸とする4バックが果敢にラインを押し上げ、中盤でのパスワークも円滑になっていく。カズ自身はなかなかボールに触れなかったが、「キャンプから取り組んできた守備の連動性のところはうまくいってましたね」と、献身的な守備で貢献。1-0で前半を折り返した。
 
 後半も横浜FCが主導権を握る。56分にゴール前20辰琉銘屬らカズがループ気味のミドルを狙うなど、チーム全体でシュートへの意識を高め、松本を押し込んだ。カズは65分にお役御免。横浜FCはGK南雄太の安定したセービングもあって最後まで堅牢を維持し、そのまま3ポイントを奪取した。
 Jリーグ最年長出場記録を「50歳と0日」に更新したカズは、まず周りの人びとへの感謝を口にした。
 
「これだけのたくさんのお客さんが来てくれた。自然とグラウンドに来ればモチベーションが上がると思っていたので、僕自身は気負わないようにとだけ心がけていました。18歳でプロになった時、まさか自分が50までやるなんて想像もしてなかった。それは30になっても40になっても同じ。本当にいろんなひとの支えがあって、メディアを含めたみなさんが盛り上げてくれたおかげでここまでこれた。あとは、いまのチームメイトですね。試合に集中したい時、僕のことで周りがざわつくことがある。それでも文句も言わずに助けてくれる。いつも感謝しています」
 
 大観衆と大挙して押し寄せた報道陣。さらに、りさ子夫人やご両親などカズ・ファミリーが集結し、川淵三郎キャプテン、村井満・Jリーグチェアマン、現役時代に苦楽を共にした北澤豪氏、武田修宏氏など、ロッカールーム周りも賑やかだった。武田氏となにを話したのかを振られると、「え? 武田さんでしたっけ? 名前忘れちゃいました。北澤さんはよく分かるんですけど」とおどけ、記者陣の爆笑を誘った。
 
 開幕戦で勝利したとはいえ、シュート1本に終わった悔しさは拭えない。
 
「やっぱり僕はフォワードなんで、ゴールを取って結果を出すのが大事。ただ、いまのサッカーはハードワークが不可欠で、しっかりディフェンスしたうえでこだわっていきたい。ファンのみなさんも期待してくれてると思うので。もちろん体力的なところは、正直言って大変になってきている部分はあります。でも技術とか経験でカバーできるところはありますし、なによりゴールに関しては、どれだけ貪欲になれるかです。ゴールに対する伸びしろはまだある。そう信じてますね。それもこれも、周りに活かされてるからこそできることなんですけどね」
 
 いつまでも話を聞いていたい。そう思わせるフットボーラーはなかなかいない。老いてますます盛んなキング・カズ。最後まで、熱いメッセージを寄せてくれた。
 
「サッカーが好きだ。本当にそれに尽きるんですよ。だからこそ続けられる。子どものころから僕はこれしか知らないし、サッカーに感謝している。身体と情熱が続く限り、やりたいなと思います。毎日練習続けるって大変なことだと思いますけど、いろんなひとの力があってできているのであって、その感謝の気持ちを忘れず、失礼のないように全力を尽くしたい。50歳でピッチに立って、仲間と一緒に戦えるのは幸せなこと。あらためて、60歳まで頑張りたいなと思いました(笑)」
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)