米国旅行への関心、欧州市民の間で急速に低下

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ドナルド・トランプ米大統領が中東・アフリカ7か国の市民の入国を一時禁止する大統領令に署名した1月末以来、欧州市民の間では米国への旅行に対する関心が急速に低下している。

旅行料金比較サイトの仏「liligo(リリゴー)」によると、欧州各国の利用者が同社サイト内で「米国」を検索した件数は、大統領令の発令以降、11.6%減少したという。リリゴーの米国担当のマーケティングディレクター、エリック・ユルバンによれば、「この時期は従来、繁忙期にあたる」

今年1月1日〜2月8日までに英国とイタリア、スペイン、フランス、ドイツの同サイト利用者が米国を検索した件数を前年の同時期と比較したところ、最も減少幅が大きかったのはイタリアで、17%減となった。次いでドイツのマイナス幅が大きく、14%減少した。同サイト内の検索回数は合計で、1日当たり50万回以上を数える。

入国禁止による「損失」

米政権は大統領令の対象としたイスラム圏7か国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)について、「テロの脅威を高める可能性が高い」としているが、シンクタンクのケイトー研究所によると、実際には1975〜2015年の間に、これら各国の出身者によって米国内で殺害された同国人は一人もいない。この大統領令は、大失敗だと見られている。

米旅行協会によれば、2015年に米国内で国内外の旅行者が使った金額は、総額およそ9470億ドル(約106兆7040億円)。こうした人たちの旅行消費額が、観光業に従事する810万人以上の雇用を支えている。

一方、大統領令は、ビジネスにも影響を及ぼしている。英エコノミスト誌は、米国への出張が目的の航空便の利用は大統領令が発出されてからの一週間にキャンセルが相次ぎ、予約取り消しによる損失額はおよそ1億8500万ドルに上ったと伝えている。現在のような先行き不透明な状況が解消されなければ、損失額は今後、数十億ドル規模に膨れ上がる可能性もある。

また、市場調査会社ホッパーによれば、世界全体では同じ期間中、米国向けの航空便の予約が17%減少した。

専門家らの間では、欧州〜米国間を結ぶ路線の運賃の値下げと直行便の増便によって、欧州では今年、旅行先としての米国に対する関心が高まるものと予想されていた。アイスランド航空、ノルウェー航空など格安航空会社が米国への乗り入れを開始するなど、格安航空が急速に路線を拡大していることもあり、需要は過去最高の水準に達すると見込まれていたのだ。

前出のユルバンは、「われわれは上空待機中だ」として、トランプ大統領がこれから何をするのか、多くの人たちが危惧していると述べた。