イメージ写真(リアルサウンド編集部)

写真拡大

 アーティストがファンと直接交流する機会といえば、握手会やサイン会、ツーショットで写真撮影ができるチェキ会といったイベントが主流だ。特にアイドルシーンでは、リリースするCDの特典会として、このようなイベントが盛んに開催されている。そして近年、他グループとの差別化を図るため、特典会内容の多様化が進んでいるという。

(参考:AKB 小嶋陽菜、卒業後はビジネスの道へ? 『コジハルタビ』で見せた意外な視点

 最近のアイドル現場での特典会の傾向について、トークライブ「ガリバーのアイドル漫遊記」を大阪にて開催し、全国のアイドル現場に足を運んでいるガリバー氏に話を聞いた。

「メジャーアイドルの特典会と言うと、乃木坂46は、持参したボイスレコーダーでメンバーの声を録音する“生声録音会”など、昔から面白い取り組みを行っています。乃木坂46は『スペシャルイベント』をデビュー当初から開催していて、袴姿のメンバーとかるたをする“大かるた会”や、最近では“私物サイン会“を開催していて、エアコンを持ち込んでサインしてもらっていたファンが話題になったりもしました。一方で、ハロプロも基本的にはリリースイベントと合わせて個別握手会、チェキ会を数年前から変わらず開催していて、そこから工夫を凝らして“ロング握手会”やファンが悩みをメンバーに相談する“お悩み相談会”等を開いています。ハロプロは“お絵描き会”も評判が良い。スターダスト所属アイドルに関しては、ももいろクローバーZがメジャーデビューする前後の頃はかなり破天荒な特典会をやっていたのですが、規模が拡大した後は特典会自体が無くなっていきました。私立恵比寿中学やチームしゃちほこ等も基本としてはハイタッチ、握手会や写メ会等までに留めた特典会を開いていることが多いですね」

 またガリバー氏は、近年増加傾向にあるメジャーアイドルの特典会の様々な取り組みは、「AKB48のチーム8がきっかけで広まったものが多いのでは」と語る。

「メジャーのアイドル現場は撮影禁止が当たり前だったのですが、近年の写真や動画の撮影をできるようにした流れをメジャーアイドルに持ち込んだのは間違いなくAKBのチーム8であると思っています。彼女たちは、AKB48なのに写真も撮れる、動画も撮れる、“撮影し放題”から始まったグループ。スマホでの撮影者やカメコ(カメラ小僧)を中心に、撮った動画や写真をTwitterに投稿することで、“チーム8の現場が楽しそう”ということが徐々に広まっていきました。その影響を受けて、まずAKB48やSKE48らが動画撮影を若手グループから“逆輸入”した形です」

 さらに、ファンが現場でアイドルとふれあうことを前提としていた特典会から、全く逆の発想で生まれた“ネット”を通した特典会が流行の兆しをみせているとガリバー氏は続ける。

「最近は、“ネットサイン会”が好評の様です。これは主に現場に足を運ばないファンや地方に住んでいて会場に行けないファンに向けたもので、事前にCD予約をする際に名前を登録すると、メンバーがネット配信番組中に名前を呼んでくれたり、サインを書いてくれて、それが後日送られてくる。イベントに行くまでではないライトなファンや、CDを買うだけでは物足りない人にとって丁度いいようです。東京女子流が2014年12月6日に最初に放送を始めてから好評で、lyrical schoolなど導入するグループも増えています。同じく、直接握手会に行けない人や、より親近感を感じたい人のためにスマホのアプリを用いた、メンバーと1対1でライブトークできる特典会等も増えつつあります」

 最後にガリバー氏は、特典会は写真やサインなどの“モノ”として残す取り組みよりも、“体験”としてメンバーと時間を共有することに比重が動いていると分析した。

「AKB48とSKE48の大握手会の様な現場は、“アトラクション”が散りばめられた遊園地そのもの。CDの特典券は、握手や撮影だけではなく、メンバーが開いている出店で使うことができる。ヨーヨーすくいや輪投げなど、お祭りに遊びに来た時のように特典券を自由に使えて、特典券1枚で好きなメンバーとバドミントンの対戦をしたり、ストラックアウトやフリースローにチャレンジしている姿をメンバーに見守ってもらうことができる。長い間、握手会を中心にCDの売上を拡大してきたからこそ、48グループは別の違う形の“体験”を特典にする方向に舵を切っていると感じています。ファンとアイドルの交流の体系に、遊びながら時間を共有するということが加わり、今後もこのような楽しみ方が徐々に広まっていくのではないかと思います」

 アイドルを問わず、ライブ市場が活況な昨今、音楽シーン全体でアーティストとファンがともに“時間を共有する”機会が増えている。特にファンとの関わりが強いアイドルシーンでは、それが顕著に表れているのかもしれない。

(大和田茉椰)