■見どころはあったが

 男女ともに国内で行われたマラソンの新記録を打ち立てた東京マラソン。ファンとしては今まで未知のスピードを目の当たりにすることができ、大いに盛り上がった大会と言えるだろう。速いランナーを見るということはいい刺激になり、今大会に出場しなかったランナーにとってもいい興奮材料となるだろう。

 日本人ランナーも見どころを作った。設楽悠太が30キロ地点まで日本記録を上回るタイムで走った。昨年日本人3位に終わった服部勇馬も経験を活かし準備万端で今大会に臨み軽い足取りだった。

 しかし終わってみれば日本人ランナーのタイムパッとしたものではなかった。日本人1位は井上大人。終盤粘りを見せ失速を最小限に抑えてのゴール。2時間8分22秒というタイムで悪くはない。しかし日本記録の2時間6分16秒という記録からは2分以上も引き離される残念な結果で終わった。

■海外との差は縮まっていない

 今大会サブ10(フルマラソンで2時間10分以内で走ること)を記録した日本人ランナーは4人。いい材料と言えばいい材料と言えるが、それで満足してはいけない。その4人がみんな「世界との差を感じた」と言ったように海外との差はとてつもなく大きい。

 優勝したキプサングの走りを見て分かるように、日本人ランナーと比べて後半の失速が少ない。ペースが落ちても3分近くでまとめられる走りをできる強さと粘りがある。若い日本人ランナーが活躍し注目を浴びているが世界に目を向けるともっと若いのにもっと強い選手が多い。

■収穫があったでは甘い

 多くのマラソンランナーが「夢は東京オリンピックのマラソンで金メダルを取ること」と言うが厳しい言葉で言うとお笑い草だ。サッカー日本代表が「ワールドカップでメダルを取る」といって海外勢から鼻で笑われるような感じだ。マラソンを走って「今回は収穫があった」というだけでははっきり言って甘い。

 残り3年半しかない中でメダルに届くほどの力をつけるには並大抵の努力では不可能である。オリンピックは夏場に行われるため2時間2分台の記録というのはまず出ないと考えていい。しかし、少なくとも冬場に2時間5分台前半の記録を出せるような力が無ければオリンピックのメダルは厳しいものがある。今の日本記録を一回に10秒更新できたとしてもあと3〜4回更新しないといけないことになる。

 「収穫がある」のは結構だがその収穫を次の大会に生かし大幅に自己ベストを更新していかないといけない。そうしなければとても3年半後にメダルを獲得するなんて言うことは不可能なのだ。

 収穫を結果に結び付けるように一マラソンファンとして厳しい目で見守っていきたい。