新たな前線のトライアングルの出来が、今季の広島の命運を握っていると言っていい。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1第1節]広島1-1新潟/2月25日/Eスタ
 
 開幕戦となった新潟戦、注目された前線3人に起用されたのは、工藤壮人、フェリペ・シウバ、森島司のユニットだった。
 
 新エースの工藤が今季初得点を挙げたものの、これはセットプレーで水本裕貴のヘディングシュートをGKが弾いたところをいち早く詰めて押し込んだもの。広島の1トップ・2シャドーの肝であるコンビネーションを披露する場面は決して多くなかった。その要因のひとつは、新10番のフェリペ・シウバが抑え込まれたことが挙げられる。
 
 プレシーズンに行なわれた8試合で7得点を叩き出したフェペ・シウバは、新潟から常時マンマーク、時にはふたりで囲い込まれ、自由を奪われた。勝負の世界において相手の特長を消すのはセオリーとはいえ、その徹底ぶりにスカウティングされていることを感じたと工藤は話す。
 
「新潟のベンチを見ていても、(前線3人を)すごく警戒しているのが分かりました。特にフェリペ・シウバのところで、彼を潰せじゃないけど、とにかく『目を離すな』という声はベンチからも出ていたので、キャンプの映像とかを研究されていると思います」
 
 試合後、新助っ人は「すべてが良くなかった」と肩を落とした。森保一監督は「相手が対策を立ててきて、フェリペにとってはやりにくい試合だった」とかばったが、今後は「厳しいマークの中でも、自分の良さを出さないといけない」(フェリペ・シウバ)だろう。
 
 新潟戦では引いた相手に対して有効な手が見出せず、前線までボールを供給できないシーンが何度も見受けられた。固いブロックにどう侵入していくかはキャンプから取り組み、プレシーズンの試合では一定の成果は得られていた分、「少しヤキモキした部分はあった」(工藤)という。それでも、工藤は「焦れないことが大事」としつつも、ボランチや最終ラインからもパスをつけてほしいとリクエストを出す。
 
「攻撃のバランスを考えながらも、FWの僕からしてみればもう少し縦パスに挑戦してほしい。ハーフタイムにそのへんは(パスを)通してもらって大丈夫だと言ったし、だからこそ後半はオープンな展開になって、前に前にという形が出てきたと思います。練習試合では通るのに、そこで引っかかって失点につながるとネガティブな気持ちが出てきてしまう。どれだけトライできるかが重要になるので、(攻撃の)スイッチの入れ方はみんなですり合わせていかなければいけないなと」
 もっとも、ポジティブな要素がなかったわけではない。例えば、7分には森島がくさびをスルーしたところを工藤がダイレクトのヒールパスで返して森島がゴール前にアタック。17分にはDF2枚を交わした森島が、中央の工藤にパスを出してワンツーを狙う場面があった。フリックを含めたダイレクトプレーの精度が高まってくれば、攻撃の幅は広がるだろう。
 
 実際、前線の3人と対峙した新潟の成岡翔は、「新しい選手が入ってもクオリティが落ちない。なかなか捕まえづらいし、どうしても後手後手の守備から入る形になってしまった。嫌らしい攻撃だった」とプレッシャーがあったことを明かしている。
 
 工藤も、「要所要所で(自分たちの)良さは出ていた」と悲観はしていない。
 
「若い森島もJデビューの緊張感もなく、すんなり入っていった。今日は流れの中からは点が取れなかったですけど、チャンスは作れているし、確率はこれから上げていければいい。僕も良い意味で広島に染まり過ぎずに、“自分らしさ”も出しながらやっていくのがベストかなと感じています。生半可な気持ちで帰ってきたわけではないので、期待してもらっていいですよ」
 
 前線のトライアングルに、絶妙な化学反応が起きることを期待したい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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