「腕もみ」健康法、胃腸の不調から腱鞘炎まで治す

写真拡大

■「手あて」は人類最古の治療法

「手あて」という言葉があります。辞書には、病気やけがの処置をすることとあります。ふだん何気なく使っている言葉ですが、この言葉には医学の起源があらわされています。というのは、医学における病気やけがの治療は、患部に手をあてることからはじまったからです。

わたしたちは、手や足をかたいものにぶつけると、思わず痛いところを手でさすります。お腹が痛くなると、やはり手でお腹をさすります。あたまが痛くなると、これもまた、痛みを感じるところに手をあてます。

痛いところに手をあてる。この動作を意識して行っている人は、ほとんどいないと思います。誰から教わったわけでもないのに、誰もが同じようにそうしてしまうのは、痛みを手でやわらげようとするのは人間の本能から生まれる動作だからです。

おそらく、医学という学問が体系化する以前から、それこそ人類が薬草を発見する前のはるか大昔から、わたしたち人間は、いまの人たちと同じように痛いところを手でさすっていたと思われます。そして、さするだけでなく、もんだり、押したりすることでも、痛みや不快な症状がやわらぐことを学んできたのだと思います。

手でさするという原始的な方法から、どこの段階で、もむ、押すといった方法が枝分かれしたのかわかりませんが、少なくとも3000年以上前から、手を使った治療法がはじまったことはわかっています。そのことは、殷の遺跡の象形文字によって、書き残されています。つまり、手で症状をやわらげる方法は、人類が考えだした、もっとも古い治療法なのです。

以降、手を使った治療法は、進化と発展を繰り返しながら中国の社会にしっかり根を下ろしてきました。てなでる手法(摩法)、もむ手法(揉法)、押し動かす手法(推法)などです。どの手技治療も、基本となる考えは、自分のからだは自分で治す、ということです。

中国には、古くから「病気は自分でつくったものだから、自分で治すもの」という文化がありました。この文化は、いまも深く浸透していて、わたしが知る限りでも、何百人もの人が、セルフケアによって病気を克服し、健康を取り戻すことに成功しています。手技治療がはじまった歴史を考えると、数えきれないくらいの人が自力で病気から回復し、健康的な一生を送られたのだと思います。

■自分の体は自分の手で治す!

そこで、現代人が自分の手を使って自分のからだを治す方法として、「腕もみ」健康法を紹介します。

これは、中国古来の推拿療法から考案した、誰にでもできる健康法です。東洋医学の考え方に基づくもので、胃腸の状態を改善するだけでなく、健康なからだを取り戻し、維持する健康法です。

(1)使う時間は、1日1分
(2)道具も器具も使わない。使うのは「自分の手」
(3)動作は簡単。グーッと押すだけ
(4)場所を選ばず、どこでもできる
(5)時間を選ばず、いつでもできる
(6)ながらでできる

短時間でできる簡単な健康法ですが、胃が痛い、お腹が痛い、胃がむかつく、吐き気がする、食欲がないなどの症状が改善するだけでなく、継続することで、胃腸を健やかに維持することができます。また、からだ全体のバランスを整えることを考える東洋医学に基づく健康法なので、「腕もみ」を続けると、ほかのからだの不調改善にもつながります。

ぜひ、仕事や家事の合間にトライしてみてください。

(東京中医学研究所所長 孫維良=文)