今年のアカデミー賞、どうなる!?生中継の案内役、ジョン・カビラに聞く

写真拡大

 第89回アカデミー賞が、2月27日(月)(※日本時間)にいよいよ開催されます。日本では授賞式の模様がWOWOWで生中継。今年で11回目の案内役となるジョン・カビラさんに、ゴールデングローブ賞で最多7部門を受賞したミュージカル「『ラ・ラ・ランド』はやっぱりすごいのか」「トランプ大統領誕生で揺れる今年の授賞式はどうなる?」といった、今年の見どころを伺いました。

◆近年まれに見る空気感の中で開催

――今年はどんな授賞式になると思いますか?

カビラ:僕も知りたいですねぇ(笑)。アメリカの歴史が大きく動いて、不安に思っているみなさんが多いかもしれませんが、願わくば、そういう不安とか分断とかではなく、融和を、明るい未来を感じさせるものであってほしいですね。

 特にハリウッド、セレブリティにとっては、実社会とかけ離れた生活をしていると、やり玉に挙げられた1年でもあったので、そういった斜めに見ている人たちをも笑わせる、もしくは涙させることができるのかどうか。近年まれに見る空気感の中で執り行われることは間違いないと思いますよ。

――司会者のジミー・キンメル(アメリカのコメディアン、司会者)は、日本では知らない人のほうが多いかと。

カビラ:ジミー・キンメルは、アカデミー賞が終わったあとのレイトナイトショー(深夜番組)をやっていたんです。なので、受賞した人たちのインタビューはお手の物。そんな彼が、ステージ上で何をやってくれるのか、楽しみですね。

 アメリカの視聴者は、登壇者がどういう人なのかとか、いまどのテレビシリーズに出ているといった文化的な背景を分かったうえで楽しんでいるので、日本のスタジオでは、そういったところを、(映画評論家の)町山(智浩)さんたちと少しでも補足しながら、危なげなくギリギリのところで(笑)盛り上げていきたいです。

◆注目作品はやっぱり…

――今年の注目作は?

カビラ:「Too White」と呼ばれた“漂白された”アカデミー賞もありましたが(昨年、一昨年のアカデミー賞の演技部門ノミニーが全員白人だったことを受けて)、今回は本当に順当なノミネーションだと思います。見事に多様性が表現された。

 作品も、SFもあれば、時代ドラマもあれば、戦争ものもあれば、犯罪ヒューマンドラマや実録ものもある。そして全く違う方向にあるミュージカルの『ラ・ラ・ランド』。『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)、『イブの総て』(1950)に並ぶ14部門ノミネート。もしミュージカルが作品賞を取ったら『シカゴ』(2002)以来です。

――『ラ・ラ・ランド』はやっぱりすごい作品ですか?

カビラ:いや、これはですね、驚きました。冒頭から立ち上がって拍手を贈りたくなりましたね。デイミアン・チャゼル監督はすごい。インタビューを拝見すると、彼は(アカデミー賞3部門に輝いた監督作)『セッション』(2014)の前から、『ラ・ラ・ランド』の構想があったそうなんです。才能は年齢じゃないんだなと(チャゼル監督は32歳)。
 僕の弟のジェイ(川平慈英)はミュージカルもやっているので、ジェイともう一度観たいです。

◆メリル、ニコール、レオ様とスターだらけ!

――俳優部門も『ラ・ラ・ランド』に注目ですか?

カビラ:そうですね。ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは、これで共演3度目。息の合い方がすごいです。ダンスシークエンスでも揃い方が見事。もしライアンが主演男優賞を取ったら、ミュージカルでの主演男優賞は『マイ・フェア・レディ』(1964)以来ですよ!

 ほかには助演女優賞候補のビオラ・デイビスにも注目しています。『Fences』でのデンゼル・ワシントンの妻役で、感情を爆発させるシーンがあるんですけど、本当に鬼気迫る演技です。何度も撮り直したらしいんですけど、すごいなと。彼女は『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』(2011)で主演女優賞にノミネートされましたが(2008年には『ダウト 〜あるカトリック学校で〜』で助演女優賞にノミネート)、ぜひ報いてあげてほしいです。

――今年はメリル・ストリープが20回目のノミネートで最多ノミネート記録を自己更新、ナタリー・ポートマンやニコール・キッドマンの名前もあったり、レオナルド・ディカプリオがプレゼンターで登場したりと、華やかな顔ぶれです。

カビラ:どこかで見た顔ばかりです(笑)。授賞式前のレッドカーペットも注目ですよ。完璧じゃないライティングのもとにいる女優さんたちを見られたり、素顔が垣間見られるシーンがあったり。

 それと、とにかくアカデミー賞は究極の予告編。今年、これを観るといいという作品が絞り込まれていますから、ぜひ参考にしてほしいです。僕もWOWOWを観ているみなさんと一緒に、驚きやハラハラを共有しながら楽しみたいですね。

<TEXT&PHOTO/望月ふみ>