WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

「世界ランキング1位になっても、トロフィーはもらえない。あるのは、世界一になったという”プライド”だけだ。僕が選手生命を終えるとき、何週間世界一に就いていたかが、僕にとっては大事なこと。その事実は、誰にも奪うことができないからね」

 そう話すのは、ジェイソン・デイ(29歳/オーストラリア)。先のジェネシス・オープン(2月16日〜19日/カリフォルニア州)でツアー13勝目を挙げたダスティン・ジョンソン(32歳/アメリカ)が、代わって世界ランキング1位となるまで、その座を保持していた。

 デイが世界1位になったのは、昨年の3月末。ほぼ1年近くその座を守ってきた。その間について、デイが振り返る。

「すごくタフな時間だった。いいこともたくさんあったけれど、慣れないこともたくさんあった。大きなプレッシャーもあったし、やらなければいけないこともたくさんあった。世界ランキング1位になるということは、たくさんの責任が発生することでもあった」

 トップ選手なら誰しもが目標とする、世界ランキング1位という王者の座。しかしながら、デイも語っているように、その称号にはトロフィーや記念品もなければ、賞金も出ない。あるのは”名誉”だけ。にもかかわらず、その座に就くことによって、多くの義務や責任が発生する。

 メディアからのリクエストが増して、プレー以外の仕事が増える。そして何より、世界一として戦うということは、大きな”プレッシャー”を強いられることになるのだ。

「この1年近く、世界一でいられたことをとても誇りに思う。これから、僕はまた、世界一を目指すだけだ。ただこれで、もう毎週ランキングを気にする必要はなくなかった」

 今回、世界一の座を奪われたデイ。そう語ったあと、少しホッとした表情を見せたのが印象的だった。


ジェネシス・オープンを制して世界ランキング1位の座に就いたジョンソン デイに代わって浮上したジョンソンは、延べ20人目の世界一となる。昨年の全米オープンで初めてメジャーを制覇。今季も含めて過去10年間、毎年勝利を挙げている。

「僕はただ、試合に勝つことだけを考えていた。だから、世界一になったことは”ボーナス”。ここ数年は、ずっとランキングトップ10にいたけれども、なかなか1位になれなかった。そして、やっと1位になれた。今なら、僕が世界一だと胸を張って言える」

 ようやくつかんだ王者の座に就いて、ジョンソンは素直に喜びを語った。その後、メディアから「プレッシャーは?」と聞かれると、ジョンソンはこう答えた。

「まだ1位になって30分しか経っていないから、わからない。2週間後に、もう一度聞いてくれ」

 そのときにはぜひ、もう一度尋ねてみたいと思う。

 世界ランキングが始まったのは、1986年。以降、最も長い期間、世界一の座に君臨していたのは、タイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)。トータル683週にも及んだ。2位は、グレッグ・ノーマン(62歳/オーストラリア)の331週。3位は、ニック・ファルド(59歳/イングランド)の97週と続く。

 近年では、ロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)が95週、デイが51週、ジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)が26週、世界一の座に就いた。ウッズが王者から陥落して以降、その座が頻繁に入れ替わる戦国時代に突入したと言える。

 また、今回のジェネシス・オープンの結果いかんでは、松山英樹(25歳/日本)にも世界一になるチャンスがあった。松山は優勝することが絶対条件で、そのうえでデイが25位以下に沈んだ場合だ。

 そんな千載一遇のチャンスを迎えながら、松山は無念の予選落ち。好機を逃した。

 とはいえ、松山のランキングは現在も5位。6位のスピースまでは首位ジョンソンとの差が僅かなので、これから開催されるポイントの大きな試合、世界選手権シリーズ(WGC)などの結果によっては、1位の座が入れ替わることは十分に起こりうる。

「世界ランキング1位になることは、目標のひとつ。他の選手のことはどうにもできないので、僕自身がいいプレーをした結果、それが今週ではなくても、これから先、いつかそうなれればうれしいな、と思う」

 世界一の座について、そう語った松山。今回は叶わなかったものの、今季開幕から好結果を出し続けて、いよいよ世界ランキング1位に輝く可能性も現実味を帯びてきている。

 トロフィーも、賞金もない”世界一”の座。けれども、いやだからこそ、大きな価値がある。まずはジョンソンの世界ランキング1位奪取を祝いつつも、これから始まる熾烈な”王者”争いが楽しみになってきた。

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