フロリダ州で英語を学ぶ新しい移民(Joe Raedle/Getty Images)

写真拡大

 アメリカ国土安全保障省は2月21日、トランプ大統領の2つの大統領令の執行細則を発表し、アメリカ・メキシコ国境地帯で違法入国の取り締まりを強化した。これを受けて、シンクタンクの「ピュー研究所」は2014年の統計資料を用いてアメリカの不法移民の現状を可視化した。

不法移民の現状

1110万人の不法移民:アメリカ人口の3.5%を占める。

800万人の不法移民は職業に従事している:アメリカの労働力人口の5%を占め、農業(26%)と建築業(15%)に勤める者が多い。

585万人のメキシコ系不法移民:不法移民の53%

50万人のインド系不法移民:不法移民の5%

32.5万人の中国系不法移民:不法移民の3%

メキシコ国境フェンス(MARK RALSTON/AFP/Getty Images)

59%の不法移民が集中する6つの州:カリフォルニア州(235万人)、テキサス州(165万人)、フロリダ州(85万人)、ニューヨーク州(77.5万人)、ニュージャージー州(50万人)、イリノイ州(45万人)。南部の州が多い。陸続きのメキシコから入国した者が多いからだと思われる。

アメリカで10年以上生活している不法移民66%: 2005年当時の数値は41%で、割合が大幅に増加している。アメリカに定住した移民が多いようだ。

アメリカで暮す年数が5年未満の不法移民は14%:2005年の数値は31%だった。こちらは減少している。

13.6年:不法入国者のアメリカ滞在期間の中間値。この数値から50%の不法移民がアメリカに13.6年以上滞在していることがわかる。

アメリカ滞在期間5年未満のメキシコ系不法移民は7%:他の国出身の不法移民の数値は22%だ。

 不法移民に対するトランプ政権の策

 

2つの大統領令:トランプ大統領が1月25日に発した「国境の安全と移民法の執行を改善する大統領令」と「アメリカ国内の治安を強化する大統領令」。

2つのファクトシート:上述の2つの大統領令を執行するにあたり、国土安全保障省が2月21日に2つのファクトシートを公表した。「国境の安全と移民法の執行の改善に関するファクトシート」と「アメリカ国内の治安強化に関するファクトシート」。

影響を受けない人たち:現在米国政府は不法難民の取り締まりを強化しているが、DACA(一定基準で不法移民の子供の国内滞在を認め、就労を許可する措置)対象者は暫定的に国外退去の対象外となっている。

 「アメリカ国内の治安強化に関するファクトシート」

0忍容:強制送還される不法移民はいかなる理由でも赦免しない。

1万人:アメリカ税関・移民法執行局(ICE)が迅速に増員すべき人数。

優先的に強制送還される7種類の不法移民:1)刑事事件で有罪判決を受けた者2)刑事犯罪で起訴され、判決の言い渡されていない者3)刑事告発されうる罪を犯した者4)公務員をだましまたは故意に誘導した者5)政府の福祉政策を濫用した者6)国外退去命令に従わない者7)移民官の裁量により、公共及び国家の安全に脅威となり得る者。

16の州・32の法執行機関が「INA第287(g)号計画」に加わる:連邦政府がこれらの政府組織に連邦移民官同等の捜査・逮捕権限を付与する。2006年1月から2015年9月まで、このプロジェクトは40.2万人の不法移民を強制送還させた。対象は主に服役中の者だ。

機関の設置:「移民犯罪の被害者のための機関(VOICE)」の新設。移民による犯罪の被害者をサポートする専門機関。

1つの大きな注意点:国土安全保障省の執行官の権利の増大に伴い、法執行に当たって国外退去すべき疑いのある不法移民を見かけたときは逮捕・拘留する権利を有する。

1つの小さな注意点:不法移民は法執行に当たりプライバシー権を制限される。

 「国境の安全と移民法の執行の改善に関するファクトシート」

1つの終止符:「捕まえてから放免する(catch-and-release )」政策に終止符を打ち、法定手続きに従い迅速に不法移民を退去させる。

5500名の増員:アメリカ税関・国境警備局は新たに5000名の国境警備隊員と500名の空中・海上警備員の増員を行うこと。

パトロール中の空中警備隊員(John Moore/Getty Images)

1つの未知数:メキシコ国境フェンスの建造及び維持費用。

1つの大きな変化:かつては国境地帯から100カイリ(185km)以内の地点で逮捕され、もしくは不法入国から14日が経過していない不法入国者のみ即時退去されていたが、現在では185km以内の範囲がアメリカ全土に拡大され、14日の制限も2年まで延長された。不法移民をより厳しく取り締まるためだ。

1万人から1.5万人:2016年にメキシコ国境地帯で逮捕された一か月の不法入国者数は2015年と比較して約1万人から1.5万人ほど増加している。

53.4万件:アメリカ移民裁判所に積み残されている案件数。2004年度と比較して200%以上増加している。

2年から5年:拘束されていない不法移民が移民裁判所の審理を待つ期間の平均値は2年以上だ。

1つの特例法:メキシコからアメリカに不法入国した者は国籍に関わらず即時メキシコへ送還される。国内で急増する英語を解さないメキシコ系不法移民対策と見られる。

1つの提示:移民監督官は「信ずるべき恐怖(credible fear)」規定を厳格に審査し、難民が提出した証拠が拷問等の「信ずるべき恐怖」を受けたことを証明するに足るものであるかを判断する。

15.5万人の保護者同伴でない児童による不法入国:過去3年間、アメリカはメキシコ国境で15万人以上の不法入国した児童を逮捕した。彼らは保護者等の成人と同伴ではなく、単独でアメリカ国内に入国した。人身売買によるものも多いと言われている。

1100個のベッド:トランプ大統領が行政命令を発した後、国土安全保障省は逮捕した不法入国者を一時収容する施設のベッド数を増やしている。

(翻訳編集・文亮)