途中出場の田中は値千金の同点ゴール! チームメイトたちの想いも乗せて、シュートを流し込んだ。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1第1節]広島1-1新潟/2月25日/Eスタ
 
 1点ビハインドで迎えた71分、ゴール前でこぼれ球を拾った田中達也は左足を一閃。ボールはGKが一歩も動けない的確なコースをなぞってネットを揺らす。喜びを爆発させる田中の姿が、同点弾の価値の大きさを物語っていたと言えるだろう。
 
 田中がピッチに入る直前、新潟は広島に先制点を許していた。「まだ時間はあるから、まずは流れを変えてくれ」と三浦文丈監督から指示を受けると、「(自分に与えられた)30〜35分間、ガンガンいくことしか考えてなかった」という。
 
 その後、前述のゴールシーンを迎えるわけだが、ボールがこぼれてくる前には、富澤清太郎のロングフィード、ロニの抜け出しと折り返し、加藤大のゴール前での潰れと、チームメイトたちの“サポート”があり、田中も「みんなのゴール」だと強調する。
 
「ゴール前の混戦でボールがこぼれてきたので、流し込むだけでした。劣勢だったので難しい状況でしたけど、チームのみんながあそこまでつなげてくれて、結果的に僕がゴールしたという形かなと。蹴った弾道を見た時に『入った』と思いました」
 
 田中のゴールで逆転に向けてチームの士気も高まったが、82分に矢野貴章がこの日2枚目のイエローカードを受けて退場。数的劣勢となり、目標が「勝点3」から「勝点1」へと切り替わると、田中も懸命に守備に戻って広島の攻撃を跳ね返した。
 
 開幕前の下馬評は決して高くないなか、敵地での勝点1獲得は決して悪くない結果だが、田中は「最低限の結果」と現実を見つめる。
 
「今季はひとつでも上の順位に行きたい。サポーターのためにも、勝点1ではなく、次は勝点3を取りたい」
 
 自身のゴールに笑みひとつ見せることなく会場を後にした田中の目は、早くも次なる戦いに向いていた。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)