約8年ぶりオリジナルアルバムの制作にも密着

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 日本を代表する音楽家・坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画「RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT(仮題)」が、11月に東京・角川シネマ有楽町ほか全国で公開されることがわかった。2012年から約5年にわたって密着取材した映像と、幼少期からの膨大なアーカイブが映画を彩る。

 1952年に東京都中野区で生まれた坂本は、幼少期からピアノと作曲を学び、70年代後半には音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」の一員として国内外で高い評価を得た。同グループ解散後も多岐にわたって活躍し、映画音楽家として「ラストエンペラー」の楽曲を手がけ第60回アカデミー賞の作曲賞を受賞。近年は山田洋次監督作「母と暮せば」、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作「レヴェナント 蘇えりし者」、李相日監督作「怒り」などに参加したことも記憶に新しい。

 映画はYMO時代をはじめ、01年9月11日に米ニューヨークの自宅近くで経験した同時多発テロ、11年3月11日の東日本大震災に始まる一連の活動、そして14年7月の中咽頭ガン罹患の公表などを含む“過去の旅路”を振り返りながら、坂本の音楽的探求と変遷を真正面からとらえた。カメラは今年3月にリリースされる約8年ぶりのオリジナルアルバムの制作現場にも密着しており、坂本の“最終楽章”のオーバーチュアがスクリーン上で奏でられる。

 坂本は、「2012年にNO NUKES 2012を撮影できないか? とスティーブン・ノムラ・シブルという映画制作者から連絡が入った」と端緒を振り返る。「それ以来、官邸前のデモや、東北ユースオーケストラとのコンサート、そしてガンがわかって映画製作のスケジュールに大きな変更が余儀なくされても、僕の側にはいつもカメラがあった」といい、「スティーブンは僕に何を見たんだろう? プライベートスタジオも、自宅のピアノ室も、全てさらけ出した。こんな映画に坂本の私生活を覗くという以上の意味はあるんだろうか? 果たして映画として『見れる』作品となっているんだろうか? いま、僕は完成が待ち遠しい」とコメントを寄せている。

 監督は、「ロスト・イン・トランスレーション」の共同プロデューサーを務め、日本サイドの全製作業務を任されたことで知られるスティーブン・ノムラ・シブル。「震災後、坂本龍一さんの音楽表現がどのように変わるのか、新たにどのような曲を書かれるのか、もしそこまで密着可能であれば、何かカタルシスが生じるのではないかとの思いが、この映画を作り始めるきっかけでした」と述懐し、「ご病気の事もあり、本格的な作曲プロセスの記録を始めたのは撮影開始から4年後の事、長い撮影期間となりましたが、映画を通じて、映像と共に音楽や音の魅力を表現できればと、今も願っております。ぜひ皆さまに劇場で音楽的カタルシスを体験して頂きたく思います」と呼びかけている。