自由民主党HPより

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 安倍首相ら有力政治家の政治的介入が疑われている学校法人森友学園の国有地格安払い下げ問題。国会では連日、極めて破格かつ不透明な払い下げの経緯が追及されているが、もう一つ、見逃してはならないのが、森友学園の洗脳的なトンデモ教育方針だ。

 周知の通り、森友学園が運営する塚本幼稚園では、園児に教育勅語を暗唱させるほか、自衛隊の記念式典で園児らに演奏させたり、日の丸と旭日旗を振らせるなど、徹底した"極右洗脳教育"がなされている。とくに教育勅語は、4月に開校予定の瑞穂の国記念小學院(「安倍晋三記念小学校」)でも、「教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成」を「全教科の要」とするように、非常に重要視されているようだ。

 しかし、そもそも明治初期に発布された教育勅語は、「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ」から始まり、国民を「臣民」と位置付けるなど、モロに皇国史観を植えつけるものだ。たとえば「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」とあるように、いざ戦争があれば公に身を捧げ、永遠に続くべき皇室の運命を助けよと命じている。つまり、バリバリの軍国主義的イデオロギーそのものである。

 こんなものを暗唱させ、学校教育の根幹としているだけでも、何も知らない子どもたちに対する"洗脳"としか言いようがないが、しかも、ここに来て森友学園が教育機関としてありえないことを示す、あらたな重大疑惑が浮上してきた。

 それは、塚本幼稚園で、保護者向けに憲法改正に賛成する署名活動が行われていたというものだ。保護者が配布された文書には、「私は憲法改正に賛成します」と書かれており、「ご紹介者」の記入欄には塚本幼稚園の名称と、園長である籠池泰典・森友学園理事長の名前がはっきりと記載されていた。実際、2月23日放送の『NEWS23』(TBS)では、塚本幼稚園の元保護者が、実物の署名用紙を手に「これの『賛同を』というので、こういう紙(署名用紙)が入っていたりとか。幼稚園でこういうことをしていいのかなって」と証言していた。

 この署名運動を展開している大元は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」。そう、一昨年秋、日本武道館で行われた決起集会で安倍首相もビデオレターを寄せたあの極右改憲団体で、実質的な日本会議の別働隊である。そして、籠池理事長は日本会議大阪の運営委員だ。

 日本会議が背後にいる幼稚園での改憲署名活動と、安倍首相がいかにして関係しているかは現時点では明らかでないが、いずれにせよ、これは教育基本法第14条第2項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」に抵触する政治活動そのものだ。

 仮に、一国の総理大臣が園内での改憲運動を黙認していたのならば、明らかに違法かつ倫理的責任は重大。即刻辞任すべき大問題だが、一方で自民党は、「子供たちを戦場に送るな」という教員を「偏向教育」として処罰する目的で"密告フォーム"までつくるなど、学校教育への介入を着々と進めている。

 これは、昨年7月の参院選公示直前、自民党のホームページ上で公開された「学校教育における政治的中立性についての実態調査」なるもの。そこで〈「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる〉と記し、これを〈偏向した教育〉〈特定のイデオロギー〉と糾弾して、〈政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください〉と、学校や教員の情報を投稿させるフォームを設置した。

 つまり、「子供たちを戦場に送るな」というごく当たり前のことをいう教師を弾圧し、監視によって教育現場を統制することで「戦争反対」とさえ口にできない空気を作り出そうというわけだ。さらに昨年8月には、自民党の木原稔財務副大臣(当時・党文部科学部会長)が"密告フォーム"に寄せられた情報の一部を警察当局に提供する考えまで示した。

 その後も、12月6日に開かれた自民党文部科学部会では、教員の「政治的中立性」を確保すべく、処分を厳格化する方向で検討を開始。朝日新聞の報道によれば、同部会は〈現状では政治的中立を逸脱しても「処分が重くない」と指摘。教育公務員特例法を改正し、罰則を科すことも検討すべきだとした〉という。

 ようするにいま、安倍政権は自分たちの意に沿わない教員や教育現場を「政治的中立」ではないとして弾圧しようとしているのだ。にもかかわらず、教育勅語を中心にすえ、ましてや改憲の署名集めまで行っている学校に対しては賛辞を送り、まったく問題視しようとしない。こんな二枚舌が許されるわけもないが、少なくとも、安倍政権のいう教育の「政治的中立」などテタラメでしかないこと、そして、連中が目指す学校教育のトンデモぶりがまたもや証明されたわけである。

 実際、昭恵夫人は、2015年9月に塚本幼稚園で行われた「小学校名誉校長就任講演」のなかで、「普通の公立学校の教育を受けると、せっかくここ(塚本幼稚園)で芯ができたものが、(公立の)学校に入った途端に、こう揺らいでしまう」と、公立学校の教育を否定する発言までしていた(テレビ東京『ゆうがたサテライト』17日放送)。つまり、公立学校で行われている通常の教育よりも、子どもたちに教育勅語を暗唱させ、軍国主義を刷り込む"洗脳"のほうがふさわしいと言っているのである。

 今回の森友学園をめぐる様々な疑惑については、今後も徹底的な追及が必要であることは言をまたないが、わたしたちは、その背景にある安倍首相のトンデモ教育観と、その国民への押し付けに対しても、今一度警戒心を強めるべきだろう。
(編集部)