薔薇の騎士はいかにしてカンフーの達人となったのか。

マーベル×Netflixのカンフー・ファンタジー・ドラマ『アイアン・フィスト』。今回はその主人公であるアイアン・フィストことダニー・ランドを演じたフィン・ジョーンズのインタビューをお届けします。

残念ながら直接お話は伺えませんでしたが、関係者に質問を託す形で実現した、ニューヨークの撮影現場(2016年9月)でのインタビューです。出演の経緯やキャラクター作り、さらには『ゲーム・オブ・スローンズ』で演じたキャラクター「薔薇の騎士」ことロラス・タイレルへの思いなどなど、たくさん語っていただきました!!

『ゲーム・オブ・スローンズ』のネタバレがややありますので、ご注意ください。


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――『アイアン・フィスト』への出演はどのような経緯で決まったのでしょうか?

フィン・ジョーンズ(以下、フィン):これが面白い展開だったんです。あれは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の撮影を終えて、帰宅のために空港にいたときのことでした。6年やっていた仕事が終了し、次の仕事は決まっていなくて不安で仕方がなかったんです。そんなとき、メールを受け取りました。マーベルのスーパーヒーローを描くテレビドラマのです。「ワオ、こりゃクールだ」と思いましたね。

ただ、自分にヒーロー役が務まるわけがないとも思っていたんです。でも資料を読んで、キャラクターの特徴を知れば知るほど、心をつかまれていきました。これこそ、自分のためにある役だと確信して、自分のオーディションを録画したテープをロンドンから送ったんです。

それから一カ月ほど経過してクリスマスが過ぎ、正月が過ぎ、ロサンゼルスへ行くことになりました。『アイアン・フィスト』とは無関係で、ちょうどパイロット版制作の季節なので行っただけなんですが、なんと最初のオーディションが『アイアン・フィスト』だったんです。オーディションの前にキャスティング・ディレクターに会い、自分が有力候補だと教えてくれたので、自信がついてオーディションではそれまで以上にがんばりました。

その後スクリーンテストを受けて、さらにまたその後もスクリーンテストを受けて、その後もいろんな人に顔見せをして、承認を得る必要がありました。2週間半の間にあらゆるテストを受けたんです。合格の連絡を受けたときは友だちとふたりでベニスビーチにいました。作り話のように思われるかもしれませんが、そのときに海でイルカがジャンプするのを見たんです。


――本当ですか!?

フィン:本当なんですよ。それを見て、合格の知らせがくると確信しました。もちろん、頭の片隅では最悪の結果になっても落ち込まないように、と自分に言い聞かせていたんですけど、飛び跳ねるイルカを見て、これは良い兆候だぞと思いましたね。

その後、日が暮れてビーチから自分の車へ戻るとき、携帯電話を確認したら、留守録にマネージャーの「おめでとう」というメッセージが入っていたんです。天にも昇る気分でした。それが今年の2月のことで、いまはこうしてシーズン1の最後のエピソードを撮影しています。なんともクレイジーな1年です。


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――アイアン・フィストというキャラクターは前から知っていたのでしょうか?

フィン:知りませんでした。イギリスではアメリカほどコミックを読む文化がないんですね。自分の子ども時代において、コミックと接する機会はありませんでした。なので、『アイアン・フィスト』というコミックがあることも、キャラクター名も知らなかったんです。ただ、いったん読み始めたら、これこそが自分のやるべきキャラクターだと100%の確信を持ちました。


――どのようなキャラクター作りをしたのでしょうか?

フィン:コミックを読んで、脚本を読み、さらに自分自身をかなり反映させました。外から持ち込んだというよりは、自分の内側にあるものを外に出した、という感じに近いです。

このキャラクターは矛盾の塊である点が魅力的なんです。物質主義の大金持ちである一方で、仏教とマーシャルアーツに通じている。この矛盾こそが独特の個性となっています。


――アイアン・フィストはカンフーの達人という設定ですが、どのようなトレーニングをしたのでしょうか?

フィン:マーシャルアーツの達人になるためには、それこそ何十年もかかりますし、一生を費やしても達人には到達できなかったりもします。それなのに、自分の場合はたった2カ月間しかなかったんです。

だから、とにかく可能な限り詰め込むようにして、毎日3時間マーシャルアーツ、2時間はウェイトリフティングに費やしました。ただ、体を筋肉隆々にするつもりはなかったんです。もちろん多少は筋肉をつけて、脂肪を燃やす必要はありましたが、彼はマーシャルアーツの達人なので、引き締まっていて、敏捷であることが重要ですからね。

それから殺陣を必死で覚えたんですが、ステップの覚えが悪くて最初は大変でした。でも、数週間で慣れていきましたね。


――『アイアン・フィスト』にも『ゲーム・オブ・スローンズ』と同様、熱狂的なファンがいますが、プレッシャーはないのでしょうか?

フィン:ふたつのアプローチがあると思います。恐怖心や不安を抱えて生きるか、あるいは「最高じゃないか!」と喜んで受け入れるか、のふたつです。僕はふたつの番組に出演していて、どちらもみんなが夢中になってくれています。でも、他人の期待は特に考えません。

自分が考えるのは、ただひとつ。演じるキャラクターにリアリティを持ち込むこと。これだけです。もし、リアルなキャラクターを体現できれば、みんなはきっと反応してくれるはずだと思っていますからね。アイアン・フィストはコミックのキャラクターかもしれませんが、僕からすれば葛藤を抱えたリアルな男です。そういう風にアプローチしています。


――『ゲーム・オブ・スローンズ』を途中で去ることに悔いはなかったのでしょうか?

フィン:なかったですね。とても満足しています。番組はあと2シーズン続くわけですけど、僕が演じたロラスというキャラクターは番組のレギュラーではなかったですし、シーズンフィナーレであそこまで派手なことができて、うれしかったです。

次のシーズンまで生き残って、2話目や3話目あたりで死ぬよりもずっといい、あのキャラクターにとって素晴らしいエンディングだったと思います。出演が終わったおかげで、今回のような素敵な機会に出会うこともできましたしね。


――コリーン役のジェシカ・ヘンウィックも、『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演していましたよね。

フィン:番組のなかで共演したことはなかったですけどね。ただ、コミコンへ一緒に出たり、台本の読み合わせをやったことはあって、あの番組のキャストはみんな仲良しだったので、彼女のことはよく知っていました。アイアン・フィスト役に決まった1カ月後くらいにジェス(ジェシカ)が電話をくれて、オーディションのためにロサンゼルスへ来ると教えてくれたんです。

それで自宅へ招待したら、彼女は空港から直接やってきて、その夜はリハーサルの準備を手伝いました。彼女が合格するチャンスを最大化するためにね。僕は他の女優ともリハーサルをやっていたんですけど、彼女とは相性がいいことがわかっていたので、ふたりで仕事ができるように取りはからったつもりです。友だちとしてこういう協力ができたことは、とてもラッキーだったと思います。


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――マーベルファミリーに加わることについてはどう感じているでしょうか?

フィン:グレートです。すでにものすごいファンがいますし、とくにNetflixでやっているマーベルのドラマは、正しいドラマ化だと思います。リアルで生々しく、構成もしっかりしていて、大人向きです。こんな素晴らしいドラマに参加できるのはうれしいですし、こうした壮大な世界に参加できることもうれしいですね。

『ゲーム・オブ・スローンズ』と同じように、その世界に没頭できるので、役者としては演技がものすごく簡単です。すでに世界ができているので、足を踏み入れればいいだけですからね。こんな素晴らしい作品に関われるなんて、つくづく運がいいと思います。


――『アイアン・フィスト』はNetflixで配信されるオリジナルドラマの4作品目ですが、これまでの作品との違いはなんでしょうか?

フィン:他の3作品と違うのは、ダニエル(ダニー)・ランドという主人公が楽観的で、若々しさに満ちているところです。他のキャラクターはみんなダークで、試練を体験しています。ダニエルの場合、とても楽観的です。そんな彼の性格が、作品のトーンにも影響を及ぼしていると思う。

まだ完成した作品を見ていないからわからないところもありますが、バトルシーンがたくさんあるので、アクションも多いです。それに、アクションそのものがとてもエレガントですね。

実際、アクション以外も美しいと思います。『デアデビル』はヘルズキッチンが舞台なので、荒廃としていましたよね。『アイアン・フィスト』はウォール街が舞台なので、グラマシーパークなど、ゴージャスで美しいセットがたくさんあります。ビジュアルとしてとても豪華で、これまでの作品では見られなかったニューヨークのエリート世界が描かれていくので、とても面白いと思いますよ。


――『ディフェンダーズ』への出演も決まっているんですよね?

フィン:待ちきれないですね。『アイアン・フィスト』を終えてから、比較的すぐに『ディフェンダーズ』の撮影が始まります。他のキャラクターたちとの相性がどうなるのか、とても楽しみです。

すばらしい監督がすでにそろっていて、『アイアン・フィスト』を担当した演出家も継続することになっていますし、どんなストーリーになるのかはまだ知らないんですが、きっとクールなドラマになると思います。


――『アイアン・フィスト』のなかで、ルーク・ケイジやジェシカ・ジョーンズとの交流は描かれるのでしょうか?

フィン:それについては答えられないですね。同じニューヨークが舞台なので、どんなこともありえるとしか言えません。


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――ダニー・ランドというキャラクターのどこが好きでしょうか?

フィン:彼の楽観主義なところですね。シリアスになりすぎない軽さと言ってもいいかもしれません。これはとても面白いです。あとはさっきも言いましたけど、矛盾の塊である点ですね。

彼は外見こそは大人ですが、中身はまるで子どもです。そして、とても軽くて明るいのに、ものすごくダークな過去を持っています。こういう矛盾やコントラストがあるおかげで、演じるのがとても楽しいです。


――Netflixのドラマの現場はいかがでしょうか?

フィン:役者として、ちゃんとサポートされていると感じます。すべてのクルーが作品に情熱を注いでいて、みんなが最高の仕事をしています。自分と同じくらい、みんながこの作品に夢中になってくれているのは、とてもうれしいことです。


――Netflixの場合、イッキ見する人が多いですが、その点についてはどう思いますか?

フィン:『ゲーム・オブ・スローンズ』のように1話ずつ公開されるパターンに慣れているのもあって、まだ自分の気持ちは定まっていません。1話ずつのほうが、僕がテレビに映っている期間が長くなりますしね(笑)。

ただ、それは自己中心的な考え方であって、視聴者は好きなように楽しんでくれればいいと思っています。それこそがNetflixのやり方です。コンテンツを提供して、あとは視聴者に好きな方法で視聴してもらう。12週間にまたがって視聴してもいいし、12時間連続で見てもいい。まあ、さすがにそれはクレイジーだと思いますけど(笑)。ぼくらはコンテンツをNetflixのユーザーのために作っているわけで、彼らが好きなように見てくれればOKです。


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やはりダニーはコミックと同じく、明るく楽しい人物になりそうですが、フィン・ジョーンズが自身を反映させたという点がどのようにキャラクターに現れているのかが本当に楽しみです。

気になる『ディフェンダーズ』についてはまだまだ話せることは少ないようですが、素敵なキャラクターが登場しているだけでなく、フィン・ジョーンズの語っている通り、過去の作品と同じスタッフが多く関わっているので、面白いことはほぼ確実でしょう。ぜひコミックと同じく、ルークと仲良くなってほしいな……。

ともかく、『アイアン・フィスト』は期待値が高まりに高まっているので、クレイジーと呼ばれようがなんだろうが、12時間ぶっ続けで見なくては!(エクストリームなイッキ見はくれぐれも自己責任でお願いします)

Netflixオリジナルドラマ「Marvel アイアン・フィスト」は3月17日より全世界同時配信。



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(傭兵ペンギン)