途中出場から勝点3をもたらすゴールを決めた前田。決して簡単なシュートではなかったが、冷静に左足を振り抜いてネットを揺らした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 値千金の活躍だった。この男の一振りで、横浜は大きな勝点3を手にしたのだから。

 
 81分にダビド・バブンスキーとの交代で前田直輝がピッチに入る。ポジションはトップ下。ただし、投入直後はあまりプレーに絡めず、お世辞にも存在感があったとは言い難かった。
 
 もっとも、本人からすれば、虎視眈々とチャンスをうかがっていたのかもしれない。求められる仕事は、ゴールに絡むこと。そして、その大役を見事に果たしてみせた。
 
 2-2で迎えた90+2分、左サイドから仕掛けた齋藤学から、グラウンダーのクロスが来る。選択肢はひとつしかない。ダイレクトでシュート。「もう、ラッキーです。学くんが、良い場所に流してくれたので」と振り返る前田は、ゴールシーンでは冷静だった。
 
「ただただ、浮かないように。冷静に、枠に。ゴロ(のシュート)だったら、もしかしたらセカンドボールでまたチャンスが生まれるかもしれない。浮いて、枠を外すのが、一番シラケるなと思ったので(笑)」
 
 昨オフには中村俊輔を含め、何人かの主力が去り、ある意味で、リスタートを切った横浜が、開幕戦という大事なゲームで、優勝候補の浦和を3-2で下してみせた。

 前田は自覚を強くし、やる気に満ちている。
 「失ったものは絶対に大きい。それを埋めていく、(その人たちを)越していくのが、残された人たちの使命。ましてや、自分は俊さんが付けていた25番を与えられているからには、その番号に恥じないように」
 
 かつての大黒柱を彷彿とさせるパフォーマンスだったという意味を込めて、『背番号25でトップ下、そして決勝点』と投げかけると、前田は再び、「ラッキーです」とやや照れたような表情を浮かべながら、「続けられるように頑張ります」と、さらなる活躍を誓った。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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