『ラ・ラ・ランド オリジナル・サウンドトラック』

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 映画『ラ・ラ・ランド』が、「第89回アカデミー賞」で監督賞、主演女優賞、美術賞、撮影賞に加え、作曲賞、歌曲賞を獲得した。

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 同作は、ロサンゼルスを舞台に女優を目指すミア(エマ・ストーン)と売れないジャズピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)の恋愛模様と夢を追う姿を描いたミュージカル映画。ブロードウェイミュージカルへの出演経験があるエマ、作品のために3カ月ピアノを猛特訓したライアンという2人の演技力と相まって、映画『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』などに影響を受けたというデイミアン・チャゼル監督が描くオリジナル・ミュージカルは全世界で人気を集めている。2月24日から日本でも公開され、カラフルな映像や切ないストーリーとともに、全編に渡って作品を彩る音楽にも注目だ。

 同作品の作曲を務め「アカデミー賞作曲賞」を獲得したのは、ジャスティン・ハーウィッツ。彼はチャゼル監督のハーバード大学時代からの友人で、前々作『Guy and Madeline on a Park Bench』前作『セッション』でも作曲を担当しており、映画音楽を手がけるのは今作で3作品目となる。

 今回アカデミー賞を受賞した主題歌「City Of Stars」は、都会(=物語の舞台・LA)でジャズピアニストと女優というそれぞれの目標に向かって頑張る2人の愛と夢を歌ったバラード。セブのソロから始まり、中盤からはミアも参加してのデュエットに。歌唱力の高さはもちろん、2人の笑い合う声から感じられる飾らない雰囲気も魅力的だ。<City of stars / Are you shining just for me? / City of stars / There's so much that I can't see(スターの街よ その輝きは俺のため? スターの街よ 見えないものばかり)>という歌詞の通り、“幸せだけど、少しほろ苦い”作品全体の空気を表したものになっている。

 この他に華やかな「Another Day of Sun」やロマンチックな「A Lovely Night」など、作中の楽曲はどれも作品とリンクしながら、ピアノやストリングス、金管を使った多彩な音とキャッチーさにこだわっているものばかり。これらの楽曲を収録した『ラ・ラ・ランド オリジナルサウンドトラック』を通して聴くと、ハーウィッツは前作『セッション』含めジャジーな音作りが得意であることがわかる。

 過去にチャゼル監督はインタビューで「ジャズは動いていくものだし、時代と折り合っていかなければならない。現代とどう向き合っていくかが重要なんだ」と語っていた。(参考:http://realsound.jp/movie/2017/02/post-4167.html 『ラ・ラ・ランド』デイミアン・チャゼル監督が語る、ジャズと映画の関係)ハーウィッツの作った曲は現代的でキャッチーなポップスの中に、リズムなどでさりげなくジャズの雰囲気を取り入れており、監督の思いにしっかりと応えたものになっているといえる。

 今回のアカデミー賞獲得で一気にその名を知らしめたハーウィッツ。チャゼル監督とのゴールデンコンビによる次回作はもちろん、他の監督とのコラボレーションによる新たな一面を見られることを期待したい。(村上夏菜)