弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに応える本連載。今回の相談者は、派遣社員をしている島田真理子さん(仮名・34歳)。

「夫の浮気が原因で離婚します。離婚届は用意していますが、まだ提出はしていません。

私たちは現在、夫の会社の社宅に住んでいます。夫は人事に離婚のことはもう報告済みで、単身用の社宅に引っ越す予定ですが、私の転居先が決まりません。私は非正規ということもあって、いい条件の転居先がないのです。実家は地方で、親戚などの縁も希薄。頼れない状況です。

私も貯金が少なく、毎月カツカツの生活をしています。結婚生活は4年間で、大企業に勤務する夫が、仕事をあまりがんばらないでほしいと言うから、勤務していた中堅商社を退職し、派遣社員になったことを、今では後悔しています。

夫は自分が浮気したにも関わらず、転居費用は出せないと言います。実際に200万円以上の借金があり、それどころではないのです。

法律的に相手の浮気が原因で離婚する場合、相手が引っ越し費用を出しますよね? あと1か月以内にこの社宅を出ないと、私は家なき子になってしまいます。

この場合、どのように請求すればよろしいのでしょうか?」

 弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

ご質問にストレートに答えるとすれば、夫の浮気が原因で離婚になった場合でも、妻の引っ越し費用を夫が出すことは、法律的に決まっているものではありません。

法律的には、婚姻が破たんした原因がこのケースのような浮気の他、借金やギャンブル、暴力など夫に責任があると認められた場合、慰謝料を請求をすることはできます。

しかし、法律的に請求ができることと、実際に夫が支払うことはまた別問題のことが多いです。本当に夫に経済力がない場合には、支払が実現されない可能性があります。

ただ、それではあなた側のご事情としても転居できなくなってしまいます。そうなると今の社宅を出て行くことはできず、その結果夫としても会社との関係で、きちんとした対応ができず困るはずです。

結局2人の問題なのですから、きちんと話し合って決めるべきことだと思います。

2人だけの話し合いがうまく進まない場合には、家庭裁判所に調停を申し込むといいでしょう。

裁判所というと身構えてしまうかもしれませんが、相談窓口もあるので、行ってみてはいかがでしょうか。離婚届をまだ提出していないならば、離婚とともに諸条件の問題をまとめて調停事項とすることができます。この場合、夫婦関係調整調停を申し立てることになり、所定の申立書を提出します。書類は、家庭裁判所の窓口で交付を受けることができます。他にも不安な場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

いい条件の賃貸物件を借りようとすると、保証人の問題なども出てくる。細かなことを話し合うことが、遠回りに見えるけれども近道。



■賢人のまとめ
離婚届を出す前に、夫婦で話し合いをすることが大切です。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/