金・プラチナ「現物で贈与」は新たな節税テクとなるか

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■保有期間によってかかる税金が変わる

金やプラチナなどの貴金属を売却したときの税金はどうなるのか。

税理士の儘田佳代子氏は「保有期間が5年以内か、5年超かによって、税金の取り扱いが大きく異なります」という。

税法上、資産を売却したときの所得は、譲渡所得に分類される。譲渡所得の中でも金やプラチナの売却益は、給与所得など、他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」という方式が採用されている。

税額を計算する際には、売却益から50万円の特別控除を差し引くことができる。売却益が50万円以下なら税金はかからず、申告も不要ということだ。さらに、保有期間が5年超の場合には、利益の額を半分にすることができる。

たとえば、売却益が100万円の場合、保有期間が5年以下(短期譲渡)なら、「100万円−50万円」で50万円が利益となり、他の所得と合算して税額を計算する。一方、保有期間が5年超(長期譲渡)なら、「(100万円−50万円)×2分の1」で25万円を利益として他の所得と合算して税額を計算することになる。長期保有したほうが税金上、断然有利といえる。ただし、他の所得と合算して税額を計算するということは、給与所得などが多い人ほど、金やプラチナの売却益に適用される税率も高くなるから注意が必要だ。

また、売却して損失が発生した場合には、ゴルフ会員権や絵画など同じ総合課税の対象となる譲渡所得の利益と相殺することができる。

金やプラチナは現物を手元に保管しているケースも多く、売却しても税金の申告を忘れてしまうかもしれない。しかし、2012年1月1日より、一度に200万円を超える金やプラチナを売却した際には、買い取った貴金属会社が税務署に支払調書を提出することになっている。

支払調書には、売却した人の「住所」「氏名」「金地金等の種類」「重量」「数量」「支払金額」「支払確定年月日」が記載される。200万円以下なら提出されないが、一度に複数の金やプラチナを売却し、合計が200万円を超える場合も提出される。今後はマイナンバーも記載され、税務署も申告漏れを発見しやすくなる。

金やプラチナを資産として、子どもや孫に贈与するケースもあるだろう。その場合には、贈与した時点の時価で贈与税を計算する。価格が下がっているときに贈与をすれば、有利ともいえる。

贈与税には、年間110万円の基礎控除がある。1年間の贈与額がこの範囲内なら、贈与税はかからない。110万円超えの場合には、贈与を受けた人が贈与を受けた翌年の3月15日までに申告をする必要がある。

では、贈与を受けた金やプラチナを売却したときはどうなるのか。

「売却益を計算する際は、贈与をした人の購入価格になります。たとえば、親から子へ贈与した金を子が売却する際には、親が購入したときの金額で売却益を計算するわけです」

贈与を受けるときには「いつ購入したのか」も確認しておいたほうがよいということだ。過去の価格推移は公表されているので、購入した時期さえわかれば、価格は判断できる。

「購入時期がどうしてもわからなければ、売却金額の5%を購入価格とすることもできます」

しかし、売却益が95%になってしまうわけだから、よほど昔に買ったものでなければ、不利になってしまう可能性がある。やはり、いつ購入したのかは、できるだけ明確にしておいたほうがよさそうだ。

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税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士 儘田佳代子
大手税理士法人、外資系生命保険会社、千代田パートナーズ会計事務所を経て、儘田佳代子税理士事務所を開設。監修に『株・FX・投資信託一番トクする確定申告 平成28年3月15日申告分』など。

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(向山勇=構成)