「不倫のメカニズム」を心理学的に解説!本能以外の要因とは…?

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『奪い愛、冬』や去年の『僕のヤバい妻』『不機嫌な果実』など、不倫をテーマとしたドラマって結構多いですよね。

また2014年に話題になった『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)の続編となる映画が、初夏に公開されるということでも注目が集まっています。

『昼顔〜』で上戸彩さんが演じたような、貞淑な妻を演じながら不倫をする主婦たちは「平日昼顔妻」と呼ばれ、社会現象にまで発展しました。

■セクシャリティには3つの側面がある


よく
「男性が浮気するのは複数の雌と生殖して自分の遺伝子を残そうとする、雄の本能によるものだ」
という意見を目にします。

こういった本能による衝動は、不倫を引き起こす原因のひとつといえるでしょう。
ただ、それをいったら雌にも「より強い雄と生殖し子どもを残そうとする本能」があります。そのため本能だけを理由にしたら、すべての人間が浮気性ということになってしまいます。

しかし実際には、浮気をする人もいればしない人もいる。つまり、浮気をするかしないかには本能以外にも要因があるのです。

人間のセクシャリティ(性に関する行動や衝動)は心理学上、次の3つの要素から成り立っています。

・生殖
・享楽
・倫理

それぞれ、詳細に解説していきましょう。

■生殖について


「生殖」というのは、いわゆる種族繁栄・遺伝子保存のための意欲です。
端的にいえば「家族をもちたい」と思う気持ちそのもの。
このような思いは動物として基本的な本能であり、あらゆる生物が遺伝子レベルで持っています。

■享楽について


生殖への衝動があるとして、どんな相手であろうが見境いなく排泄するようにセックスしてハイ終わり、とはいかないでしょう。

相手が人間である以上、お互いのヒューマニティーを尊重する意識を持つのは当たり前のことです。
だから意識的あるいは無意識的に、最低限の礼儀や甘い雰囲気作りなど、共に過ごす時間が素晴らしいものになるよう行動しますよね。

こんなふうに相手と「楽しく幸せな時間を過ごしたい」という思い、これが「享楽」です。

■倫理について


ほとんどの人は、形成されたコミュニティの中でルールを定めて生活をしています。
例えば「人のものを盗んではならない」と法律で定められていますが、これはどんなに親しい仲間内の間でも暗黙の了解として適用されます。

このように他者との間に発生したルールを、理性をもって守る意識が「倫理」なのです。

■なぜ不倫する人がいるのか


生殖・享楽・倫理、これらはどんな人も持ち合わせています。

ある人は生殖の比率が少なく、その分圧倒的に享楽が多い。
また違う人は生殖が大変大きく、次に倫理、享楽はあまり多くない。
前者はロマンスを求め過ぎて結婚に向かない人となり、後者は家庭的で冒険のない恋愛をする人となる。

こういうふうに人によって生殖・享楽・倫理が占める比率が異なり、それがその人の恋愛的個性を生み出します。

ここで重要なのは、倫理は状況と環境によって変化し、その変化に応じられるかどうかはその人の意識の高さに依存するという点です。

婚姻は一生をかけた契約です。イスラーム圏などでない限り、明確に伴侶への誠実義務がルール化されています。
不倫をする人は、このようなルールを守る意識を高く保つことができないんですね。
だから特定の人に対して誠実でいることができないのです。

■まとめ


不倫のメカニズム、ご理解いただけましたでしょうか。

まだ結婚してない男女も、やはり暗黙の了解として誠実義務を負っていると考えるべきでしょう。
「浮気をしない」という倫理を持てない人は、付き合う前に申告すべきですし。
「好きになっちゃったから」という理由だけで、誠実意識の足りなさを正当化することはできません。

不倫にも浮気にも、純愛はない。
そこにあるのは筋を通すことをおろそかにする、ただの「エゴイズム」なのです。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。