マレーシアのクアラルンプール国際空港で起きた、北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件を受けて、 与党の統一マレー国民組織(UMNO)の青年部が24日、北朝鮮大使館前で「マレーシアを尊重せよ」と書かれたプラカードを持ってデモを行うなど、現地の反北朝鮮感情が高まっている。

マレーシアは、北朝鮮国民がビザなしで入国できる世界でも数少ない国のひとつだが、これを見直そうとの声が高まりつつある。与党系のメディア企業が所有する英字紙、ニュー・ストレート・タイムズは、ビザなし政策の見直しを求める専門家の意見を紹介した。

マレーシア首相府の元書記官で、シンガポールの南洋理工大学ラジャラトナム国際研究院の胡逸山上席研究員は、ビザなし政策の見直しに何ら不安はないとして次のように述べた。

「ビザなし政策によって得られる利益はごくわずかだ。この協定を破棄しても問題ないだろう」

マレーシア国際関係戦略研究所のシャリマン・ロックマン上席研究員も、ビザなし政策でマレーシアが得る利益は、コストに比べると僅かなものだと指摘している。

「マレーシアの年間貿易総額1兆5000億リンギット(約38兆円)のうち、北朝鮮との貿易額は2300万リンギット(約5億8000万円)と0.002%に過ぎず、発展のポテンシャルも望めない」

また、英字紙のザ・スターによると、スリ・ナズリ・アジズ文化観光相は、自国民に対して北朝鮮への渡航を自粛するよう呼びかけた上で、北朝鮮を「国際法を尊重しないならず者国家」だと批判した。ただ、同時にビザなし政策については「そもそも北朝鮮国民は、海外への渡航が認められてないので、マレーシアにやってくることはない」として、見直す必要がないと述べた。

ロイター通信は、マレーシア政府高官が、同国駐在のカン・チョルの追放と平壌にあるマレーシア大使館の閉鎖、外交関係の断絶を検討していると述べたと報じている。

カン大使が金正男氏殺害事件と関連し、「マレーシアの捜査は信用できない」と述べたことに端を発した両国の非難の応酬は当分収まりそうにない。