ベルギーの巨匠が再来日! ジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ

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 ベルギーの巨匠ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ兄弟監督が23日、都内で行われた最新作『午後8時の訪問者』ティーチイン付き試写会に出席し、本作の製作秘話や、作品にほとんど音楽を使わないことへのこだわりなどを語った。

 本作は、映画『ロゼッタ』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したダルデンヌ兄弟が贈るサスペンス。若き女医ジェニー(アデル・エネル)が、受付時間後に鳴った診療所のベルに対応しなかったことにより、一人の少女を死なせてしまったことから起こるさまざまな出来事を、色々な人物の視点から描く。

 本作の製作理由を問われたジャン=ピエール監督は「医者は普通、命を救うことを期待されますが、この作品では逆の発想を考えました」と語ると「現在、ヨーロッパには経済状態が悪い国からの難民が多数やってきています。でも国境が閉ざされているため、何百人もの命が途中で失われてしまうことがある。この作品でも女医が扉を閉ざしたことにより、若い女性が死んでしまう。そういったことから沸き起こる感情を描きたいと思ったんです」と作品に込めた思いを述べた。

 本作で主演を務めたアデルについて、リュック監督は「彼女の作品を観て起用したのではなく、パリで行われた作家協会の授賞式で会ったときに、とても若々しく信頼のおける顔をされていた。純真無垢な感じの人が、ジェニーには合っていると思ったんです」と賞賛すると「本来ジェニーは30〜35歳ぐらいを想定していたのですが、彼女を見て、もっと若くてもいいかなと思って設定を変えました」と秘話を明かした。

 また、ダルデンヌ兄弟の作品にはあまり音楽が使われないことを観客から指摘されたジャン=ピエール監督は「音楽を入れる場所がないんです」と回答し、客席を笑わせる。続けて「私たちは1シーン1ショットの長回しで撮っている。特定の時間を切り取っているようなもので、その中に、言葉や沈黙がある。そんなシーンとシーンのつながりに音楽を入れると、音楽が映画を包み込んでしまって、観客と映画で起こっていることに距離が出てきてしまうような気がする。生々しい感じがなくなってしまうんです」とこだわりを語っていた。(磯部正和)

映画『午後8時の訪問者』は4月8日より全国順次公開