Blackmagic Design製品事例:米プロレス団体WWEの場合

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WWE photos must be credited as © 2016 WWE,Inc. All Rights Reserved.

Blackmagic Designの発表によると、アメリカのプロレス団体WWE(World Wrestling Entertainment)が「Smackdown Holiday」などのオーディオ・ポストプロダクションにFairlight DAWおよびXynergiコントローラーを使用したという。

WWEのポストプロダクション副社長であるクリス・アルヘント氏と彼のチームは、WWEが所有する施設を通じた放送やオンライン、ソーシャル・メディアプロジェクトのデリバーにFairlightを使用している。

WWEは、年間を通して毎週オリジナル・コンテンツを提供している統合メディア機関でもあり、WWEの番組は25の言語で世界各国に届けられている。WWE Networkは初めて24時間放送に対応したプレミアム・ネットワークで、「WrestleMania」「SummerSlam」などのWWEのライブ特集、スケジュールに沿った番組、ビデオ・オン・デマンド方式のライブラリが、180ヵ国以上で視聴可能。アルヘント氏は次のようにコメントしている。

アルヘント氏:WWEでは1997年からFairlightを使用しています。これまでの試合はすべて保存されており、数回クリックするだけで19年前のプロジェクトでも開くことができます。これは他のメーカーでは実現できないでしょうね。WWEには「オフ・シーズン」がありませんから、このレベルの信頼性が鍵になります。コンテンツにはすべてストーリー性があり、このストーリーはすべてのWWEプラットフォームで52週間続くのです。

アルヘント氏と彼のチームは、FairlightのPYXISビデオ収録・再生とCC-2オーディオエンジンを備えた6つのXynergiオーディオスイートで、WWEのすべてのオーディオポストを手がけている。コンテンツには長尺のショー、スポットCM、ソーシャルメディア、ショートドラマ、紹介ビデオ、そして「WrestleMania」「Royal Rumble」「Suvivo」シリーズなど17本のペイ・パー・ビュー方式の特番、プロモーション・パッケージ、企業ビデオ、販売ビデオ、2本のウィークリー番組用に送られてくる素材などが含まれる。多くのコンテンツにはストーリー性があるため、WWEは宣伝素材、紹介ビデオ、コールドオープンなどを用いて、そのプロットを説明している。

アルヘント氏:様々なストーリーが展開されているので、レスラーたちの闘いの歴史やそれぞれのバックグラウンドを紹介します。先週、先月、場合によっては去年の映像を使ってストーリーを引き継ぐわけですが、Fairlightはシームレスな処理が可能です。クリップが保存されていることが分かっているだけでなく、数回のクリックでそれらにアクセスできるのです。私たちの仕事は締め切りが厳しく、速やかに納品する必要があるため、この効率の良さに助けられています。

納品までに数日かけられることもあるが、多くの場合は可能な限り早急な納品が求められるという。

アルヘント氏:締め切りまで数日ある場合もありますが、2分のフッテージをミキシングして、ショーの5分前に衛星で中継車に送ることもあります。コンテンツが変更になることもよくあるので、その場合は数日前にコンテンツが完成していても放送の直前に変更を加えることになります。早急な調整と継続的な変更は日常茶飯事ですが、Fairlightの信頼性と効率性がワークフローを支えてくれています。

ショーは国内の会場で、収録あるいはライブ送信され、ビデオコンテンツはWWEのライブラリに保存される。エディターたちはこれらのパッケージを編集してRAW素材からショーを作成し、アルヘント氏はAAFファイルおよびフラット化したMXFラッピングのビデオファイルを受け取り、サウンドデザインや音楽編集、ミキシングを行う。

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アルヘント氏と彼のチームは、ライブラリでプロジェクトを開くだけで、複数のトラックおよびクリップを含む別のタイムラインから複数の編集を瞬時に読み込めるFairlightのライブラリファイル機能を活用している。

アルヘント氏:30秒のサウンドデザインを行い、その30秒が別のショーの一部として使用されている場合、30秒のミキシングではなくすべての要素を瞬時に得られるのです。ライブラリファイルを開き、必要な部分を読み込みます。すると複数のクリップのすべての編集、すべてのEQ、すべてのレベルを得られ、他のプロジェクトのエレメントをコピーできるので、時間を大幅に節約できます。

FairlightのAudioBaseは非常に素晴らしいですね。他のどのプログラムよりも速くライブラリでサウンドエフェクトを見つけられます。レスリングのクレイジーな音を作るために多くのサンプルを使用します。例えば人が壁を突き破って投げられるシーンなどはライブラリに保存してあります。ショーを制作する際にこまごましたサウンドを収集してAudioBaseにまとめておくことで、すべてのオーディオルームのライブラリで検索/使用できるのです。

PYXISを使用することで、AAF、フラット化したMXFラッピングビデオファイルを施設内のあらゆるサーバーから再生できます。次々と新しいビデオが送られてきますが、異なるバージョンのビデオトラックを重ねて比べることで、変更された箇所を確認できます。そのため新しいビデオとオーディオがマッチするように修正できるのです。ステムでミキシングしてからそれらをフルミックスにまとめ、サーバーに送り返してビデオと再度合わせます。

アルヘント氏によると、Fairlightのビデオの扱い方は革新的であるという。

アルヘント氏:映像をコントロールしてサウンドにロックできるビデオ/オーディオ間のシンクロ・レベルは驚きですね。サウンドエフェクトのチェック中、1つのフレーム止めてサウンドエフェクトをそのフレームの同期ポイントにオンザフライで配置できます。

ほぼすべての種類のビデオを施設のあらゆるサーバーから読み込み、リアルタイムで再生できます。タイムラインにすべてのバージョンのビデオをキープしつつ継続的にアップデートしています。タイムライン上でビデオをラフ編集してオーディオとビデオを一緒に編集し、作業を再開します。こうすることでオーディオが映像と合わないという心配はなくなります。オーディオポストは、ビデオのための処理なので、ビデオの重要性は強調してもしすぎることはありません。

海外向けの納品も多いが、FairlightのADRモードにより、オーディオ付きのビデオファイルを用いてオンザフライで新しいミックスの作成が可能だ。

アルヘント氏:ライブではない場合、海外向け納品の作業のほとんどはポスプロで行います。アナウンサーのクリーンなサウンドを収録して他言語でリミックスしますが、吹き替えはリアルタイムでワンショットで行います。これはADRモードの本来の使い方ではありませんが、Fairlightの柔軟性を物語っています。この機能はWWEのインターナショナル部門の頼みの綱になっています。

私は、オーディオポスト部門を1部屋から6つのスイートへ成長させましたが、どの過程でもFairlightを大いに重宝してきました。当初は週に4-5時間でしたが、今では複数のデリバリー・プラットフォームで週に何百時間もの番組を放送しています。これは驚くほど著しい成長ですね。