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国立天文台は2月23日、すばる望遠鏡が撮影した土星の赤外線画像を使って、リングの明るさや温度を細かく測定することに成功したと発表した。

同成果は、国立天文台ハワイ観測所広報担当サイエンティスト 藤原英明博士らの研究グループによるもので、2月23日付の国際科学誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載された。

土星のリングは無数の氷の粒子が土星の赤道上空を公転しているものだが、その起源や性質には多くの謎がある。土星のリングの主要部は、内側から順に「Cリング」「Bリング」「Aリング」と呼ばれる濃さの異なる部分でできており、BリングとAリングとのあいだには「カッシーニのすき間」がある。

今回、同研究グループは、中間赤外線カメラCOMICSで2008年1月に撮影された土星の天体データを解析。この結果、中間赤外線画像では、カッシーニのすき間とCリングが明るく、一方でBリングとAリングは暗く見えたという。しかし可視光では常にBリングとAリングが明るく、逆にCリングとカッシーニのすき間は暗く見える。

この原因を調べるため、中間赤外線画像から各リングの温度を測定したところ、Cリングとカッシーニのすき間が、BリングとAリングに比べて高温であることがわかった。Cリングとカッシーニのすき間は粒子の密集度が低いため、太陽光が良く差し込むうえ、これらのリングを構成する粒子は黒っぽいことから、Cリングとカッシーニのすき間は、BリングとAリングに比べて温まりやすいために、粒子の密集度が低いにもかかわらず中間赤外線で明るく見えたと、同研究グループは考察している。

ただし、中間赤外線画像でも可視光での見え方と同じようになる場合もあるという。これについては、太陽や地球に対するリングの開き具合の変化によって、リング粒子の温度や見かけの密集度が変わることで、中間赤外線でのリングの輝き方が変化するためであると考察している。

(周藤瞳美)