【2017年J1クラブ分析院杤蕕J2降格から1年で復帰の清水 若手奮起と組織力で目標9位以内

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 クラブ史上初のJ2降格から、小林伸二新体制によって1年でJ1に復帰した清水エスパルス。今季は同じ体制の下に多くの主力選手が残り、昨年積み上げてきたサッカーをベースに戦えることが強みだ。プレシーズンでの練習や練習試合を見ても、昨年終盤にJ2で9連勝したときの良い面は確実に表現できている。戦い方の確立や組織の成熟度といった面では、降格した2015年の始動時を大きく上回る。

 チームのスタイルは、昨年のJ2で圧倒的な得点力を発揮したポゼッションベースの攻撃サッカーを継続。ただ、J1ではボールを奪われた後のカウンターが脅威になり、相手によっては主導権を握られる展開も予想されるため、その対応についても入念に準備している。それでも、パスをつなぎながらボールを前に運ぶという面は、J1でも通用するという手応えがある。あとはゴール前の守りをいかに崩し、ゴールを決めきるかという部分にかかってくる。

 その意味では、昨季J2で18得点した大前元紀が移籍(→大宮アルディージャ)したのはやはり痛い。現時点では、その穴を埋める新戦力の補強もできていないが、現有戦力の成長は大いに期待できる。とくに頼もしいのは、大前に代わって今季から10番を背負う白崎凌兵だ。2012年の加入時から際立った技術の高さを見せつけ、将来の清水を担う逸材として期待されてきたが、昨年大きな経験と自信を得て、今季は始動時から大きく成長した姿を見せている。「自分がやらなければ」という自覚も強い。チャンスメイクも自ら決めることもでき、代表候補に加わりうる若手としても注目してほしい存在だ。

 その他に、21歳の金子翔太や20歳の北川航也も大きな伸びが期待できる。ミッチェル・デュークも昨年の大ケガからは復帰して力強いプレーを見せている。鄭大世がケガなくコンスタントに活躍し、その相棒の座を上記3人や長谷川悠らで争うことによって鄭大世以外の得点増につながれば、大前の穴は埋まるだろう。

 守備に関しては、フレイレとカヌという2人のブラジル人助っ人を獲得し、高さや強さという不足していた面を補うことができた。とくにフレイレは、ボランチとしての起用が有力で、DFラインの前の壁としても、攻撃のつなぎ役としても期待されている。

 日本代表経験もあるGK六反勇治の加入も大きなプラスで、23歳の犬飼智也(白崎と同期)とベテラン・角田誠のセンターバックコンビも好調。守備でのJ1対応はある程度計算できそうだ。

 小林伸二監督が掲げた今季の目標は「勝点50以上、9位以内」。単純に選手個々の力だけで考えれば高いハードルかもしれないが、その差を組織力で埋めながら早めに残留の目途をつけ、トップハーフに食い込むことを目指す。

文=前島芳雄