【ライバル比較】ヨーロッパの人気コンパクト6台を全方位チェック!

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欧州コンパクトカー6台を3ステージで走り比べ

今やコンパクトカーはそのボディサイズが扱いやすくて重宝されるだけでなく、シンプルなカーライフをダウンサイジングという考えに基づいて積極的に選びたいモデルとして注目を集めている。


そんななか、コンパクトカーの歴史が長くポピュラーな欧州文化が育んだモデルの実力は見逃せない。デザインを含め、大人が積極的に選んで心地良く付き合えて楽しめるモデルが豊富だ。しかも200万円を切るモデルも少なくない。


今回は個性的な6台のドライブフィールを街中、高速、ワインディングで試した。最新のスマートやトゥインゴのほか、コンパクトモデルと言えばやっぱり外せないフィアット500。フォルクスワーゲンはゴルフもいいけれど末っ子のup!はどうなのか? また、3ナンバー5人乗車モデルであるミニONE5ドアとシトロエンC3もラインアップに加わっている。

RRというレアなレイアウトを持つスマートやトゥインゴの実力やそれぞれのユニークさはもちろん、デザイン性で語られることの多いフィアット500がしっかりとした走りの魅力を持つ実力派であることも再認識。どれが一番というものではなく、比べるものがあることでそれぞれの個性がわかる有意義な機会だった。

シンプルだが思わず引き込まれるフィアット500の不思議なデザインの魅力

6台が並んだ写真を見ると、それぞれエクステリアが非常に個性的なことがわかる。ここではデザインを中心に各車を見ていきたい。

スマートとトゥインゴは基本構造を共同開発しているものの、まったく個性は異なる。インパネまわりで新鮮なワリキリが感じられたのはトゥインゴ。ナビを装備しないかわりにスマートフォンのホルダーが用意されているのだ。

一方、スマートはエアコンの吹き出し口の突出した主張といい、ドアトリムの模様といい、デザインに遊び心が感じられる。でも決して子供っぽくならないのがスマートのデザイン、と言えるだろう。

2014年にフルモデルチェンジを行ったミニはボディサイズが拡大しても、顔もフォルムもインテリアの雰囲気もやっぱりミニ。ついでに質感はもっとも高い。

そうした車種のなかにあって、デザイン面で特筆しておくべきはフィアット500だ。2016年にマイナーチェンジを行い、エクステリアでは前後ライトや前後バンパー、またインテリアではステアリングのデザインを変更。

装備面ではハンズフリー機能の追加、ドリンクホルダーの形状が見直され、内側にラバーサポートまでついて使いやすさが向上するなど、見た目と装備面で魅力が向上した。

シートのデザインも変更され、今回はチェック柄が特徴となっている。また、フィアット500のフロントシートは、ボディサイズがコンパクトでも大きくてしっかりとしたものが採用されていることも挙げておきたい。

さらにインストゥルメントパネルは、大きくて丸いメーターが運転席の目の前に1つと、センターパネルの液晶モニター、エアコンの操作パネルが極めてシンプルに存在している。にもかかわらず、このちょっぴりクラシカルさが漂う空間に身を置いた瞬間から、得も言われぬ親近感と魅力を感じさせてくれるから不思議だ。

愛嬌たっぷりの顔をしたエクステリアも含め、走る前から感じられる魅力がフィアット500にはある。

後席とラゲッジは3ナンバーボディのC3が有利

続いてパッケージングをチェック! 6台を横並びで見た場合、室内の広さはやはりボディサイズに比例していると考えてよさそう。なかでもシトロエンC3はフロントウインドウの上下方向の広さを調節でき、最大で私の頭上までウインドウが広がる解放感は特筆もの。

それとは対照的だったのがミニ。そもそもフロントウインドウの高さを抑え、独特の視界を演出しているミニは6台中もっとも全高が低い。しかし運転席のシート高さ調整量も多く、幅広い体型に対応しており、多少の圧迫感は個性。ほかのモデルでは得られないムードを楽しまなければもったいない。

リヤシートのスペースについても検証してみたところ、前席(同一編集者のポジションをセット)と私の膝の間隔はスマートとトゥインゴ以外はほぼ横並びだ。

5人定員となる3ナンバー車のC3とMINIは背もたれのサイズも大きく、やはり後席に人が座ることの意識が、4人定員の4台とは異なることもわかる。

5ナンバー車4台のなかでは、足もと、ヘッドクリアランス、横方向の広さも含め、up!がわずかではあるが一番広い。機能性重視のup!らしい。

up!とほぼ同等の空間だったフィアット500は、着座位置を高めに工夫し、足もとのスペースを確保しているため、長距離移動の際の余裕に繋がる。

スマートとトゥインゴは、はっきり言って足もとはかなり狭い。ただし座面にお尻が落ち着きやすいようにくぼみを設け、快適さへの配慮は感じられた。

ラゲッジは全車が分割可倒でき、いずれもコンパクトカーながら平均的、もしくはそれ以上のスペースを保っている。あえて一番広いモデルを挙げておくとC3。これはラゲッジ作りに定評のあるフランス車のシトロエンにとっては特別ではない。

一方、サイズのわりに実用スペースの広さが感じられたのはトゥインゴとスマート。このあたりは2台が基本構造を共有しているため、同様の機能性が与えられている。ちなみにRRレイアウトのこの2台は、ラゲッジ床下にエンジンが収納され断熱材によってラゲッジフロア温度の上昇を抑えている。

そして大きめの間口で荷物の出し入れが容易なのがフィアット500。リヤシートを使用した状態でも、日常の買い物はもちろん、2人分の1、2泊の荷物ならラゲッジだけで収納できる。もちろんリヤシートを畳めば大きいスーツケースも収納可能。リヤシートバックに金属が貼られ、長年ラゲッジを使用して荷物が当たってもヤレない点もフィアット500だけの特長だ。

小さいボディと視界のよさでフィアット500がストレスの少ない市街地走行をみせる

では走行パートに移ろう。まずは市街地からスタート!

街なかでのコンパクトカーらしい「ストレスフリーぶり=強味」は、走行車線をただ流しているだけでも、5ナンバーコンパクトの4台に共通して感じられるもの。そのなかでもとくにストレスなく走れたのはフィアット500だった。

ライバルたちと同じ道を走っても道幅が広く感じられる安心感。これが路上駐車や車線変更時のスムースでスマートな動作に繋がるから嬉しい。それは全幅がもっとも抑えられていることも要因だが、(トゥインゴやup!より2.5センチ狭いだけなのだけれど)、デザインによる視覚的効果も大きい。

運転席からの視界は、Aピラーを細く見せ、ドアミラーをドアに取り付けAピラーとミラーの間にクリアランスが設けられている。じつはこれが見切りのよさを生んでいて、ボディサイズと視覚的安心感との相乗効果をもたらしているようだ。


今回連れ出したフィアット500はツインエア(2気筒)のエンジンを搭載しており、走っているときの雰囲気もじつにいい。多少好みはわかれるかもしれないが、フィアット500の走りの雰囲気とよくマッチしている。

というのはこのエンジン、アクセルの踏み込みに応じて独特のエンジン音と共に、アクセルペダルやシート、ハンドルにその振動が伝わってくる。3気筒以上の他車にはないユニークな特性だが、パワートレインとの対話がシッカリとでき、個人的にはなんとも愛おしい。

街中の動力はまったく問題ない。組み合わされるトランスミッションにはシングルクラッチ式のセミオートマを採用していてシフトチェンジの際にタイムラグとショックがあるため、オートマ車というよりも、イージー操作を可能にしたマニュアルトランスミッションという感覚でドライブすると楽しめる。

街中での小まわり番長はスマートで最小回転半径は4.1m。乗り心地はもっとも硬めだったけれど、ボディサイズのわりに骨太さや重厚感が感じられ、走行中のドッシリ感はトゥインゴとまったく異なる。この重厚さを安心感としてプラスしたい方にはおすすめかもしれない。


トゥインゴは足もとの軽さが印象的。交差点を曲がるだけでもその軽快さにニヤケてしまうほどだ。そしてその印象はワインディングでも変わらないのだが、それはまたのちほど。


意外にもそのトゥインゴと印象がかなりかぶったのがup!だった。出足から軽くスイスイとよく走る。シングルクラッチのセミオートマ『ASG』を採用するup!の変速フィールは以前にくらべ格段に進化していた。が、まだ迷いシフトや応答遅れがあるのは否めない。

またup!は走りに軽さが感じられるだけでなく、アクセルの踏み応えやハンドルの操作感も共通して軽めであり、そのあたりの作り込みが上手い。ただトゥインゴに比べてup!のほうがいくらか足まわりが硬めで、それは交差点を曲がるだけでもカッチリ感として伝わってきた。

乗り心地が悪いと感じるほどの硬さではないものの、フォルクスワーゲン的、もしくはドイツ車的ともいえるだろう。デザイン性や質感は他のモデルと比べて特筆すべき点が少ないけれど、機能性を重視したワリキリぶりには好感が持てる。スクエア系のボディのサイズを活かした取り回しの良さも加筆しておきたい。

高速はエンジンパワーに勝るミニが有利

続いて高速。スピードが嫌いではない私も、それぞれに個性を持つ各車で満足のいくドライブができたことをまずご報告しておきたい。とりわけコンパクトカーでの高速移動は、いかに雰囲気よく移動できるかが大切だと思う。

思わず「うーん、いいな」と声を洩らしたミニは、当たりも硬めだが重厚感も路面を捉えるドッシリとした安定感もクラス違いだった。エンジン排気量もパワーもトルクも6台中もっとも大きく、合流加速で少し強めにアクセルを踏み込めば鋭さすら感じられるほどの加速も得られる。


本線合流時の加速中、一瞬だけど「頑張れ!」と声をかけたのはスマート。またトゥインゴとともにコンパクトゆえにホイールベースも短く、しかもRR(リヤエンジン・リヤ駆動)となると直進性が気になるという方もいらっしゃるのではないだろうか。少なくとも今回はどちらのモデルも高速走行時の安定感は十分、安心できるものであった。


フィアット500は相変わらず2気筒ならではの独特なエンジン音を響かせて走る。そして900ccターボエンジンは145N・mものトルクを発揮し(今回の6台中で2番目に数値が大きい)、シャープなタイプではないが加速は頼もしい。

街中では軽めな印象もあったステアリングフィールもしっかり感が増し、柔らかめだった足もとはフラットな乗り心地に変わり、スイッチなどないけれど、まるで高速ドライブモードに切り替わったようだった。

表情を変えたと言えば、C3もそうだ。街中では柔らかな足もとが高速ではドッシリ&シットリ。その安定感はミニ同様に、他車に比べて0.5もしくは1クラス違う印象がある。が、街中も含めシングルクラッチタイプの5速ETGを採用するC3の変速には、もう少しスムースさを求めたい。


up!はASGの変速が気にならなかったばかりか、高速道路ではパワーやトルクは小さいものの、水を得た魚のように軽快にスイスイと走る。これが6台中、最コンパクトモデルであることを忘れるほどで、意外と言ったら失礼だが、高速もイケるとわかったのが新鮮だった。

ストローク感でクルマと対話したいならC3とフィアット500

そしてワインディングへ。このシチュエーションでも私は雰囲気にこだわって注目したいと思っていた。が、それぞれどうして、運転好きの方でもコミュニケーションが楽しくて頼もしいモデルが多かったのだ。

もっとも雰囲気が良かったのはC3。何と言ってもフロントウインドウが頭上まで広げられ、視界180度のパノラマ感は他にはない。木々の間を抜けるような道路、それを抜けて広がる青空、視界いっぱいに広がる富士山、etc……。仮にスポーツドライビングがお好みの方でもこのシェイドをめいっぱい開けたら、戦意喪失するはず。

シトロエンのモデルはそもそもサスペンションストロークが大きく、それが十分なボディ剛性を活かししなやかなコーナリング性能を生み出す。これがMTならまた印象は異なるのだが、1.2リッター+5速ETGの組み合わせではスッキリ&シャッキリというよりも、一筆書きの要領でコーナーをライントレースするのが気持ち良いモデルだ。


ストローク系のもう1台がフィアット500。雰囲気重視のクルマだと思うなかれ! タイトコーナーなどではしっかりとボディが沈み込み、そして粘る、よく粘る。乗り心地も良い上にコーナーでもこの頼もしさがあれば、郊外にもますます連れ出したくなるというものだ。


実用性能がしっかりと備わるup!は、ここでもスマートなコーナリングをしてくれた。じつは6台中、もっとも線の細さを感じたup!はタイヤサイズのせいもあると思う。が、コーナーやそれこそ街中の交差点でも、ハンドルを切って曲がる際にはボディ骨格のしっかり感がバランスよくタイヤに載るようで、まったく不安を抱くことがないばかりか、軽快さすら感じられるほどだ。


前述したように、up!と若干ドライブフィールの印象が似ていたトゥインゴは、フォルクスワーゲンの硬質さより乗り味が優しい。しかしトゥインゴはRR。フロントノーズがスイスイと入り、軽快そのもの。

新型にしてこれだけの仕上がりを実感できるのは、ドライブフィールの統一ぶりにもある。アクセルペダルを踏み込んだ際に欲しい力が得られるのはもちろんだが、その軽すぎない適度な軽さとステアリングの操舵感、クルマの動きに一貫性が感じられるからより気持ちがいいのだ。


スマートはシーンを選ばず骨太さが感じられ、ステアリングフィールも重め。そして足まわりもハード系だ。結果、安定感も十分なパフォーマンスは申し分ないが、乗り心地も一貫してやや硬い。

スマートのほうが太いタイヤでも履いているのではないかと思うほどドッシリとしていたのだが、実際はトゥインゴと同じタイヤサイズだった。同じ構造を持つも、クルマづくりの違いは明らか。だから楽しいのだ。


ミニもドライブシーンが変わっても印象は変わらない。エンジンはこのボディサイズとしては十分に頼もしい余裕があり、ボディの重厚感を走り出しから感じられる。

さらにコーナーではやや硬めの足もとがミニをフラットな姿勢に保ったまま(実際にはサスペンションがしっかりと働いている)、しっかりと曲がりスムースに再加速へと繋げてくれるのだ。

ただ女性にとっては少々ハンドルが重く、郊外の荒れた路面では少し跳ねる場面もあった。エンジン音がもっとも大きく室内に侵入してきたのはミニだった。が、音もハードな印象も「ローラーコースター的」なミニの味としてはアリだと思う。

(写真:森山良雄)

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