【土屋雅史氏のJ2展望】成山コーチは愛媛最大の補強になり得る…福岡は不利なデータを覆し開幕戦を飾れるか

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 今シーズンも『今週のJ2』を担当させていただくことになった土屋です。昨シーズンから実際はtotoの予想はほとんどしていないんですけど(笑)、皆さんがJ2を楽しく見るためのスパイス的なコラムになることができれば幸いですので、引き続きよろしくお願いいたします!

 就任初年度となる2015年にはチームを過去最高順位となる5位まで躍進させ、J1昇格プレーオフへ導いた木山隆之監督の退任を受けて、新指揮官に秋田から間瀬秀一監督を迎えた今シーズンの愛媛。日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏が千葉を率いていた時の名物通訳であり、昨シーズンは秋田をやはりクラブ最高順位の4位まで押し上げた実績を持つ間瀬監督の手腕には、多くの人の注目が集まっていると思いますが、そんな愛媛にとって個人的に最大の補強だと感じているのは、新任の成山一郎コーチの存在です。

 広島ユースを経て、関西学院大学でプレーした後は指導者の道を歩み出した成山コーチ。サンフレッチェびんごジュニアユースなどでの指導を経て、2007年に母校でもある関西学院大学のヘッドコーチに就任した時の監督は、日産自動車や横浜フリューゲルスを率い、日本代表監督も経験している加茂周氏。「監督とかリーダーとか、そういう言葉で括れないんですよね。表現するんだったら大将とかそっち側の、男が惚れる男という人なんです」という名将の下で3年間を共に過ごし、改めてサッカーの奥深さを学んだ成山コーチは、2010年に32歳の若さで監督へ昇格すると、チームは一歩ずつ結果を残していきます。

 2014年に冬の全国大会に当たるインカレで同校初の準優勝という結果を残した関西学院大学は、翌2015年に関西選手権を制し、夏の総理大臣杯で初の日本一を獲得。勢いそのままに関西リーグ優勝を達成すると、インカレでも前年のリベンジを果たす格好で頂点まで辿り着きます。2つの日本一を含む“四冠”を成し遂げた成山監督。ただ、元々プロの世界で勝負したいという意向を持っていた彼は、2016年シーズン終了とともに大学を去る決断を下し、愛媛の地で再びコーチとして指導の現場に立つ道を選択しました。

 小島秀仁や林堂眞、河原和寿といった昇格プレーオフ経験者を10人も擁し、5年ぶりの復帰となる有田光希や小池純輝など確かな実力者を加えた愛媛の選手たちにとっても、日本代表監督経験者を師に持つ2人の指導者とサッカーに向き合う日々は間違いなく実りあるものになるはず。開幕戦で対峙する金沢も柳下正明監督を新たに招聘したこともあって、なかなかチームの全貌は見えてこないものの、実はJ2昇格後に愛媛がホームで戦った開幕戦は6勝1敗という圧倒的な数字も。このデータも鑑みて、今回の一戦はホームチーム勝利の「1」で勝負します!

 劇的な展開でJ1昇格プレーオフを勝ち抜き、5年ぶりにJ1へと復帰した2016年シーズンは茨の道。決して内容が極端に悪かった訳ではなかったものの、最後まで結果が伴うことなく、1年でJ2降格を余儀なくされることとなった福岡。金森健志や田村友は新天地を求めましたが、主力の流出も最小限に抑えられ、井原正巳監督も続投となった今シーズンのキーマンには、自身初のJ2を戦う三門雄大を挙げたいと思います。

 流通経済大付属柏高校、流通経済大学と共に全国屈指の強豪校で最高学年時にはキャプテンを任されるなど、そのリーダーシップが高く評価されてきた三門。2009年に大学ナンバーワンボランチという評価を引っ提げて加入した新潟でも、2年目のシーズンから定位置をつかむと一気にチームの主軸として活躍。2013年シーズンにはゲームキャプテンを務めるなど、新潟の顔として存在感を高めていきます。ただ、さらなる飛躍を求めて2014年シーズンには横浜Mへの移籍を果たしたものの、「自分の良さを忘れてしまって、迷いながらプレーしていたかなと思います」と振り返ったように、移籍初年度は中盤の厚い選手層に阻まれ、なかなか出場機会を得ることができませんでした。それでも指揮官がエリク・モンバエルツ監督に替わった2015年シーズンは、本職のボランチだけではなく、右サイドバックや1トップ下でも起用され、気付けばチームにとって欠かせない戦力に。改めて自らの力を示すことに成功します。