生田斗真がトランスジェンダー役を演じた『彼らが本気で編むときは、』/[c]2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

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『かもめ食堂』(06)の荻上直子監督作『彼らが本気で編むときは、』(2月25日公開)で、トランスジェンダーという難役に挑んだ生田斗真にインタビュー。生田がイケメンオーラを封印して演じたリンコは、何とも柔らかな佇まい。オファーを受けた時、生田は「俳優人生においてとても大事な大一番となる」と思ったそうだ。

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優しさに満ちたトランスジェンダーのリンコ(生田斗真)は、恋人のマキオ(桐谷健太)と仲良く暮らしていた。そこにマキオの姪である孤独な少女トモ(柿原りんか)がやってきて、3人の同居生活が始まる。

「日本映画全体で見ても、男がトランスジェンダーを演じた作品なんてそんなに聞いたことがないなあと。ある種リスキーな部分もあったので、崖の上から飛び込むような感じで『えいや!』と思って演じました」。

最初は「ものすごい挑戦になるけど、どうやってこの山を登っていけばいいのか」と頭を抱えた生田は、まず外見のアプローチから始めていったそうだ。「荻上監督から『ちゃんと女性に見えるようにしたい』と言われていたので、髪型や洋服、メイクは何度もスタッフと話し合い、クランクインぎりぎりまで試行錯誤を繰り返しました。髪の毛も最初はロングにしてみたんですが、ちょっと“夜の方面”にいく感じになり、最終的にはナチュラルな感じに落ち着きました」。

映画では、セクシュアル・マイノリティの主人公が登場する『トランスアメリカ』(05)や『リリーのすべて』(15)、『さらば、わが愛/覇王別姫』(93)などを参考に観ていったと言う。「ただ、海外の物語はけっこうショーアップされているから、日本ではこうはならないかなと思いました。精神性などいろいろと学ぶところはあったのですが、結局、取り入れていったのは坂東玉三郎さんなど歌舞伎の女形や日本舞踊、マナーなどです」。

また、トランスジェンダーの友人からもいろんなヒントを得たようだ。「彼女たちはどうやったら女性らしく見えるかを日々研究しています。ある種、女性に対して憧れを抱いているし、心血を注いでいるからとても洗練されているんです。僕もそこまでいければいいなと思って、ネイルをしたまま帰宅したり、スカートを穿いたまま過ごしたりしていました。また、どの角度から見れば女性らしく映るのかと、カメラアングルや声のトーンについても気を配りました」。

生田はクランクイン前に荻上監督から「この映画は生田さんがトランスジェンダーを演じているから面白いんじゃなくて、生田さんが演じるトランスジェンダーの役が面白いから面白い映画になる」と言われたと話す。

荻上監督の情熱も感じながら、見事リンコになり切った生田は、完成した映画をどう観たのだろうか。「すごくドキドキしましたが、実はさらっと観てしまいました。自分がどうこうというよりは『これ、すげえいい映画じゃん』と思えたからです。また、青臭いけど、本気で何かをすることはとても素敵なことだとも思いました。それは仕事であっても家族を守ることであっても趣味であっても何でもいいんですが、本気で何かをすることの輝きは大切にしたいと思いました」。【取材・文/山崎伸子】