刹那的な時間を共有する2人の思い出のメニュー「焼きシュウマイ」を、自宅で再現しようとするおねえさん

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こんな彼女にごはんを作ってもらいた〜い! 男の妄想を写真で叶えるミニドラマ『パジャマレシピ』。お料理おねえさん・大森麻里が、朝と夜の毎回違ったシチュエーションでアナタの彼女を演じちゃいます。

彼女が語りかけてくるor彼女に語りかける…それぞれの恋愛シチュエーションをその日によって体感ーー。紹介するレシピは朝晩のメイン食材は同じでコンビニでも買えるもの。簡単&クイックメニューで料理の幅も広がって、恋愛ムードを楽しみながら女子ウケしそうな料理男子にもなれちゃうぞ!



女子大を卒業して食品メーカーに入社して3年目になる彼女。配属された部署の課長と、出会ったその日から惹かれ合って自然な成り行きでふたりの時間を過ごすようになったけれど…。ひと回りも年上の男性との出会いは、もう遅かったのかもしれない。そんなふたりの、日向の匂いがする唯一の思い出。



部屋に入ると、いつもキミははにかんだ笑顔で迎えてくれたよね。

「やっとふたりきりになれたんだもん」

身体をすり寄せてくる様子が愛おしくて、その華奢(きゃしゃ)な肩に手を回す。

それが合図かのように少し遠慮気味に僕の腰にあてる手の冷たさが、ワイシャツ越しに伝わってきたものだった。

薄い身体が僕に密着するほどに、その肩をしっかり抱きしめて僕は想像する――家に訪ねるまでのキミの姿を。

時間差でオフィスを出て、家に帰ったキミは会える嬉しさと、終電前に必ず帰る僕の背中を見送る寂しさの狭間で揺れていたはずだ。

オフィスでふたりきりになった一瞬、早口の小声で呟いた言葉の通り…

「今夜はあの時に食べた、焼きシュウマイだよ。私、マスターしたんだ!」

そしてキミはひとり買い物をし、部屋に戻るとキッチンに立って準備をする。

時計を見て、僕が家に着く時間をいつも逆算しているはずだ。



そういえば、あの夜はこうも言っていた。

「デートの時に買ってもらった服を着るね」

3年になる付き合いの中で、週末の日中、一緒に過ごしたのはその1回きりのはず…。

観光客でごった返した通りを歩きながら、知り合いに会わないかと恐れていた僕とは違い、キミはまるで周りに誇示するかのように腕を組んできた。

そのあからさまな腕に抗うことができなかったのは、いつにもまして濡れた瞳とその唇のせいだったのか――。

いつしかキミは、窓に寄り添い、待ち遠しげに遠くを眺める。

そして僕はというと、はやる心が窓の中のキミの姿を見つけたいと切望していたけれど、少しは残っている理性が自分の中の罪悪感に気づく。

決して、その見つめる視線を受け止めようと顔を上げることはないのだ。

キミが本当に望むことを叶えられずに先延ばしする――。その瞳に囚われて、週に1度の数時間を手放すことができない弱い僕だ。

「ほら、あの時の服だよ」…そしてテーブルにはあの時に食べた…

あの時の言葉、あの時の温もり、あの時の瞳、すべてが僕を苛(さいな)む。

それを味わってしまえば、ただ記憶のみ官能的に甦るのか?

■恋愛レシピ14 焼きシュウマイ(1人前)

冷凍シュウマイ…5〜6個

サラダ油…適量

スイートチリソース…適量

パクチー(食べやすい長さに切る)…適量

1.冷凍シュウマイは表示通りにレンジで解凍しておく。

2.フライパンにサラダ油を多めに熱し、1のシュウマイを入れて揚げ焼きにする。

3.器に盛り、スイートチリソース、パクチーを添える。

出演:大森麻里 オフィシャルサイトhttps://mariomori.amebaownd.com/

撮影:唐木貴央(人物)/早川善博(料理) ヘアメイク:ユー・ケファ 編集協力:渡邉裕美 衣装協力:アモリコ(エプロン)