来日したジャン=ピエール&リュック・
ダルデンヌ兄弟

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 最新作「午後8時の訪問者」の日本公開を控えるベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督が来日、2月23日に都内で行われたティーチインイベントに参加した。

 「ロゼッタ」「ある子供」でパルムドールを受賞し、カンヌ国際映画祭の常連として知られるダルデンヌ兄弟。今作は、主人公の若き女医ジェニーが、ある少女の遺体の身元を探っていくミステリータッチの物語。

 主人公を医者にした理由は「医者に期待されることは人の命を助けること。しかし、反対にジェニーが扉を開けなかったために少女が死んでしまう設定を考えた」からだそうで、主演のアデル・エネルとは映画の授賞式で偶然出会ったという。当初、ジェニー役には30〜35歳くらいの女性を想定してそうだが、「純真無垢で信頼できるような好ましい顔つきだった」と、エネルの持つ雰囲気を重視し、設定を変えたと話した。

 女医が診察室で扉を開けなかったことにより、黒人の少女が死亡してしまうという筋書きは、現在のヨーロッパの移民、難民問題のメタファーでもあると明かす。ラストシーンでのセリフについて質問が及ぶと、「移民だからかわいそうな良い人、また、反対に悪いことをする人という見方ではなく、同じ人間として見てほしかった」と述べた。

 また、過去作も含め、劇中でほとんど音楽が使われない理由を問われると、長回しでの撮影が多いことを挙げ、「その時間の中に動きや言葉、沈黙、効果音があります。そして、次の場面には時間の経過があり、それがつながったというように作っている」。音楽を入れてテストをしたこともあるそうだが、「音楽が映画を包み込んでしまう。観客と映画の間に距離ができてしまうし、私たちにとって大切な生々しい感じがなくなってしまうと感じるので、音楽は入れていない」と説明した。

 4月8日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。