小泉八雲の「怪談」に新たな解釈を盛り込み映画化

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 「マンガ肉と僕」「欲動」などで知られる杉野希妃の監督第3作「雪女」の試写会が2月23日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、主演も兼ねる杉野と出演の青木崇高が上映後の会見に出席した。青木が「俳優である以上常に刺激を求めています。『雪女』の世界を心から楽しみました」と話すと、杉野監督は「青木さんは真摯に映画へコミットしてくれました。幸せな作品です」と満面の笑みを浮かべていた。

 小泉八雲の「怪談」に記された一編に、新たな解釈を盛り込み映画化。青木が猟師の巳之吉役、杉野監督が妖艶な美しさを放つ雪女役と巳之吉と結婚する美女・ユキ役の1人2役を演じわけている。第29回東京国際映画祭コンペティション部門で公式上映され、雪と光の映像美、クラシカルな美学・伝統を現代で生かそうとする試みが高い評価を得た。

 杉野監督は、現代で『雪女』の物語を描く意義について「自分とは違う人と交わって生きていくということは、未来をつくっていくことだと思っています。小泉八雲の『怪談』、とりわけ『雪女』という物語は、その点を描いていると感じたんです」と説明。さらに、小林正樹監督作「怪談(1964)」との違いを問われると「大傑作。大好きな作品」と絶賛しつつ、巳之吉とユキの娘・ウメの存在をあげ「雪女と人間の間に生まれた子どもが、どういう存在なのか、どう生きていくのかという点に焦点を当てています」と回答した。

 「監督とのラブシーンがあったのは中々ないことですよね」「杉野さんが現場に来ると、きちんと雪が降るんです。そういうことが何度もありましたよ。まさに雪女(笑)」と撮影の思い出を楽しそうに語る青木。「作品を完成させるために、大勢の人をどう集めた?」という質問に「杉野さんの人柄、人徳、パワーのおかげだと思います」と応えると、杉野監督は謙遜しながらも「情熱だけは人一倍あります。あふれる思いをストレートに伝えるという点には長けているかも」と切り返していた。

 また、大映映画を愛する杉野監督に「本作への影響は?」という質問が飛び出すと「溝口健二監督、増村保造監督、吉村公三郎監督、小津安二郎監督の作品に触れたことで映画監督を目指そうと決意したんです。だから、本作にその“匂い”が感じられるかもしれませんね。例えば、小津監督の『浮草』のカラーの使い方は参考にしています」と告白していた。

 「雪女」は、3月4日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開。