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電通は2月23日、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2016年(平成28年)日本の広告費」を発表した。これによると、2016年の日本の総広告費は、緩やかな景気拡大に伴って増加し、6兆2,880億円(前年比101.9%)となり、5年連続で前年実績を上回った。

同社によると2016年は、天災や先行き不安などが要因と考えられる低調な国内消費、円高株安傾向に伴う企業業績の低下、テロや世界的な保護主義の台頭など下押し懸念があったものの、景気は緩やかに拡大。リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピックや、伊勢志摩サミット、インターネット広告のさらなる拡大などにより、マーケティング活動の活発化が生じたという。

媒体別にみると、「新聞広告費」が5431億円(前年比95.6%)、「雑誌広告費」が2223億円(前年比91.0%)と前年の実績を下回ったものの、「ラジオ広告費」が1285億円(前年比102.5%)、「テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)」1兆9657億円(前年比101.7%)と前年の実績を超える結果となった。

そして、「インターネット広告費」では媒体費が初めて1兆円を超え、1兆378億円(前年比112.9%)。媒体費と広告制作費を合算すると1兆3100億円(前年比113.0%)となり、業界をけん引した。

このうち運用型広告費は、7383億円(前年比118.6%)と好調で、その主な要因としては、データ・テクノロジーを重要視する広告主が増え、データ連携可能な運用型への注目が高まったことや、高機能化によってリーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことなどが挙げられる。

また、市場全体で動画へのニーズは継続的に拡大。ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)では運用型がメインとなり、従来からあるサーチ(検索連動型)に対し、ディスプレイ広告の比重が高まることで、特にスマートフォンのインフィード広告が新しい成長領域となり、運用型ディスプレイ広告での競争が激化した。

デバイス別に見るとスマートフォンが引き続き伸長し、モバイルシフトが進むことで、PCポータル系やアドネットワーク型が減少傾向に。市場成長のけん引役が、PC中心型のメディアからモバイル中心型のメディアに移りつつあることで、これまでPC中心型でマネタイズしてきたメディアが運用型へのシフトを本格化。各パブリッシャーによる広告配信プラットフォームを用いた運用型の導入が活発化している。

プライベート・マーケットプレイス(以下、PMP)は、国内市場への浸透が加速。広告会社やメディアレップなどで、新たなPMPサービスのリリースや広告メニューの拡充が相次いだ。また、プラットフォーマーからのシステム提供を受け、複数のパブリッシャーが横連携しながら、ファーストパーティーデータを活用して自らPMPセールスを行う動きも出始めている。

新たな注目点は、「テレビスポット×運用型動画連動」のメディアプランニング需要の増加だという。加えて、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)ベンダー各社によるジオターゲティング(ユーザーの位置情報や地域情報を元にしたターゲティング)機能の強化や、広告会社・メディアレップによるロケーションベースマーケティングのさらなる強化など、位置情報だけでなく、過去の滞在情報を元にしたプランニング案件が増加している。 広告主によるデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)の活用ニーズの高まりとともに、運用型がそのニーズに応える手法として進化しながら、現在のネット広告市場 全体をけん引している。

(小松原綾)