中国人の日本に対する感情は、まさに「愛憎相半ばする」といったところだろう。日本製品の品質の高さ、モラルの高さを賞賛する声がある一方で、日本製品の排斥や不買を呼びかける「愛国者」が少なからず存在することからも、その複雑な心境が伺える。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国人の日本に対する感情は、まさに「愛憎相半ばする」といったところだろう。日本製品の品質の高さ、モラルの高さを賞賛する声がある一方で、日本製品の排斥や不買を呼びかける「愛国者」が少なからず存在することからも、その複雑な心境が伺える。

 中国メディア・今日頭条は21日、「どうして日系自動車を批判するのか 批判しているのは日本自体なのか、自動車なのか」とする記事を掲載した。記事は、現在中国では日系車を批判する声を多く耳にするとしたうえで、「どうしてこれほど多くの人が日系車を批判するのか」と疑問を提起している。この問いに対して記事は「われわれと日本との歴史に関係あるだろう」とするとともに、同じ枢軸国でも中国と直接軍事衝突を起こさなかったうえ、戦後には「誠意ある謝罪」をみせたドイツに比べて日本の好感度はより低い説明。それゆえ「ドイツ車よりも日本車の方がより批判される」と伝えた。

 一方で「実は自動車について言えば、日系車にはわれわれが学ぶべき点が多いのだ」と説明。批判者からしばしば聞かれる「日系車はボディが薄くて危険」という意見について「日本人はわれわれがメンツを愛することを知っている。それゆえ、車を製造する際、見える場所はきれいに作り、見えない場所で可能な限り減らせるものは減らすのだ」とした。そして、その「見えない場所」が中国のメディアに「暴露」されると、中国の人びとは騙された感覚になり、日本に対する種々の恨みが加わって大量の批判が噴出するのだという。

 記事は、自動車の要であるエンジン、シャーシー、変速機の三大部品、そして燃費という点においては、日本に対して「何も批判できる点はないのだ」と説明。日本が持つ自動車工業の基礎は中国よりも強く、「一部の技術にわれわれが学ぶに値するのだ」と論じている。

 日本製品や日本社会に対する見方に、政治的、歴史的な「反日感情」のバイアスがかかってしまうのは、ある程度は止むを得ないのだろう。しかし一方で、バイアスを最低限に抑えてできる限り冷静かつ客観的な視点で日本の事物を分析することも必要だ。そして、日本の中国製品や中国社会に対する見方にも、同じことが言えることを忘れてはいけない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)